
アソ美友だちが「名字を変えたくないから、婚姻届は出さずに事実婚にする」って。それって、ふつうの結婚と何がちがうの?

オタ男いっしょに暮らしてれば同じ、ってわけでもなさそうだよね。保険とか税金とか、どうなるんだろう。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、事実婚と法律婚のちがいです。民法・健康保険法・国民年金法の条文(e-Gov法令検索)と、国税庁のタックスアンサーをもとにまとめました。どちらを選ぶのがよい、という話ではありません。選ぶ前に知っておきたい制度のちがいだけを並べます。個別のことは、市区町村・勤め先・年金事務所・税務署などに確認してください。
婚姻は「届出」で成立する
- 民法739条は、婚姻は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって効力を生ずるとしています。届出には、当事者2人と成年の証人2人以上の署名が必要です
- 「夫婦の名字」は、婚姻の際に夫か妻の名字に決めます(民法750条)
- ここでは、婚姻届を出さずに夫婦として暮らすことを「事実婚」と呼びます。法律の条文では「婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者」などと書かれています
事実婚の配偶者もふくむもの
- 健康保険の被扶養者:健康保険法3条7項は、被扶養者になれる「配偶者」に、届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者をふくむとしています。ただし、主としてその被保険者の収入で生計を維持していることが条件です
- 国民年金:国民年金法5条7項は、この法律の「配偶者」「夫」「妻」に、婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者をふくむとしています。会社員や公務員(第2号被保険者)に扶養される20歳以上60歳未満の配偶者は「第3号被保険者」です(7条1項3号)

オタ男健康保険と年金は、法律の中で「事実婚もふくむ」ってはっきり書いてあるんだ。
法律上の配偶者だけのもの
- 所得税の配偶者控除:国税庁によると、控除対象配偶者は「民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません)」が要件のひとつです
- 相続:国税庁によると、亡くなった人の配偶者は常に相続人になりますが、内縁関係の人は相続人に含まれません。民法890条も「被相続人の配偶者は、常に相続人となる」としています
- 相続や税金のくわしい話は相続人はだれ?法定相続分は?、配偶者の控除は扶養控除と配偶者控除の記事もどうぞ

アソ美健康保険はふくむのに、配偶者控除と相続はふくまないんだ。制度ごとに、扱いがちがうのね。
子どもが生まれたら
- 名字:民法790条は、嫡出である子は父母の氏を、嫡出でない子は母の氏を名乗るとしています。婚姻届を出していない2人の子は、母の名字になります
- 父との親子関係:嫡出でない子は、父または母が認知することができます(民法779条)
- 親権:父母の婚姻中は双方が親権者です(民法818条2項)。父が認知した子の親権は母が行い、父母の協議で、双方または父を親権者と定めることもできます(819条4項)

事実婚では、健康保険の扶養や国民年金の第3号はふくまれますが、所得税の配偶者控除と相続はふくまれません。どの制度で、どちらの扱いになるのかを、ふたりで確かめてから選んでみてください。
まとめの表
| 制度 | 法律婚 | 事実婚 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 婚姻の成立 | 届出で成立 | 届出をしない | 民法739条 |
| 健康保険の被扶養者(配偶者) | ふくむ | ふくむ | 健康保険法3条7項 |
| 国民年金の「配偶者」(第3号など) | ふくむ | ふくむ | 国民年金法5条7項 |
| 所得税の配偶者控除 | 対象 | 対象外 | 国税庁 No.1191 |
| 相続人 | 常に相続人 | 相続人に含まれない | 民法890条、国税庁 No.4132 |
| 子の名字 | 父母の氏 | 母の氏 | 民法790条 |

オタ男表にすると、ちがいがわかりやすいね。どっちを選んでも、知ってて選ぶのが大事なんだな。

アソ美友だちにも、この表を見せてみる。勤め先の手続きは、会社にも聞いてみてって伝えるね。
- 名字を変えるかどうかの話は結婚したら名字はどうする?、結婚とお金の法律は結婚は「お金の契約」でもある?、結婚したときの年金と健康保険の手続きは結婚したら年金と健康保険の手続きは?の記事もどうぞ
まとめ
- 婚姻は届出で成立する(民法739条)。届出をしないのが事実婚
- 健康保険の被扶養者と国民年金の配偶者には、事実婚の配偶者もふくまれる
- 所得税の配偶者控除と相続は、法律上の配偶者だけ
- 事実婚の2人の子は母の名字。父との親子関係は認知、親権は原則母(協議で双方または父も)
参考文献
- e-Gov法令検索. 民法(明治29年法律第89号)第739条・第750条・第779条・第790条・第818条・第819条・第890条. https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089 (閲覧日:2026年10月22日)
- e-Gov法令検索. 健康保険法(大正11年法律第70号)第3条. https://laws.e-gov.go.jp/law/211AC0000000070 (閲覧日:2026年10月22日)
- e-Gov法令検索. 国民年金法(昭和34年法律第141号)第5条・第7条. https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000141 (閲覧日:2026年10月22日)
- 国税庁. No.1191 配偶者控除. https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1191.htm (閲覧日:2026年10月22日)
- 国税庁. No.4132 相続人の範囲と法定相続分(令和8年4月1日現在法令等). https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4132.htm (閲覧日:2026年10月22日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
