【テクノロジー解説】リチウムイオン電池ってなに?スマホもEVも、リチウムイオンが行ったり来たりして充電・放電。日本の吉野彰博士らが2019年ノーベル化学賞、1991年に発売
スマホ、ノートPC、電気自動車、そして太陽光や風力の電気をためる蓄電池。私たちの「ワイヤレス」な暮らしを支えるのがリチウムイオン電池です。2019年のノーベル化学賞は、1970年代の石油危機のなかで最初のリチウム電池をつくったウィッティンガム博士、1980年に4ボルトを出す正極材料を見つけたグッドイナフ博士、1985年に安全で実用的な電池をつくった吉野彰博士に贈られました。電極が化学反応でこわれるのではなく、リチウムイオンが行き来するだけなので、何百回も充電できます。しくみと歴史、使うときの注意をやさしく解説します。

プレ男スマホもワイヤレスイヤホンもモバイルバッテリーも、ぜんぶ「リチウムイオン電池」って書いてある。なんでこればっかりなの?

メル美日本人がノーベル賞をとった技術だよね!
こんにちは、Dr. Taro です。 「テクノロジー解説」、今回はリチウムイオン電池です。2019年ノーベル化学賞の公式発表と、一般向け解説「They developed the world’s most powerful battery(世界でいちばんパワフルな電池を開発した)」をもとにまとめました。
社会を「ワイヤレス」にした電池
ノーベル賞の発表によると、リチウムイオン電池は、
- 軽く、くり返し充電でき、パワフルな電池で、携帯電話からノートパソコン、電気自動車まで使われています
- 太陽光や風力でつくった電気を、たくさんためておくこともできます
- 1991年に初めて発売されて以来、私たちの暮らしを変え、「ワイヤレスで、化石燃料に頼らない社会」の土台をつくった、としています
主役は「リチウム」
- リチウムは、ビッグバンの最初の数分でできた、むかしからある元素の一つです
- いちばん外側に電子を1個だけもっていて、それを手放したがる性質があります。手放すと、プラスの電気をもつ「リチウムイオン」になります
- 純粋なリチウムはとても反応しやすく、空気にふれないよう油の中で保管しなければならないほどです。この「反応しやすさ」が弱点であり、電池にとっての強みでもありました
3人の研究がつながった
1970年代:ウィッティンガム博士の「最初のリチウム電池」
- 1970年代の石油危機のなか、化石燃料に頼らないエネルギー技術を研究していたウィッティンガム博士は、二硫化チタンという材料を正極(プラス側)に、金属リチウムを負極(マイナス側)に使い、2ボルトを少しこえる電池をつくりました
- 二硫化チタンには、分子の中にリチウムイオンを入れておけるすき間がありました
- しかし、金属リチウムは反応しやすく、充電をくり返すとリチウムがひげのようにのびてショートし、爆発するおそれがありました
1980年:グッドイナフ博士の「4ボルト」
- グッドイナフ博士は、正極を金属の硫化物ではなく酸化物にすれば、もっと力が出ると予測しました
- 探した結果、1980年、リチウムイオンを入れたコバルト酸化物で、4ボルト(約2倍)を出せることを示しました
1985年:吉野彰博士の「実用的な電池」
- 西洋では石油が安くなって代替エネルギーへの関心がうすれた一方、日本では、ビデオカメラやコードレス電話、パソコンなどのために、軽くて充電できる電池が強く求められていました
- 吉野彰博士は、グッドイナフ博士のコバルト酸化物を正極に、負極には反応しやすい金属リチウムではなく、石油コークスという炭素の材料を使いました。これも、リチウムイオンを入れておけます
- こうして1985年、安全で、軽く、長持ちする、初めての実用的なリチウムイオン電池ができました

プレ男危なすぎた金属リチウムを、炭素に置きかえたのが決め手だったのか!
しくみ:イオンが「行ったり来たり」
- ふつうの電池の多くは、電極が化学反応で少しずつ変わっていくことで電気をつくります
- リチウムイオン電池は、電極のすき間に入ったリチウムイオンが、正極と負極のあいだを行ったり来たりするだけで、まわりと反応しません
- そのため長持ちで、性能が落ちるまでに何百回も充電できます

リチウムイオン電池は、リチウムイオンが正極と負極のあいだを行き来することで、何百回も充電できる電池です。日本の吉野彰博士らが2019年のノーベル化学賞を受けました。
使うときの注意
便利な一方で、リチウムイオン電池は、つぶれる・傷つく・熱くなると、発火することがあります。
- 夏の車内に置かない、PSE マークを確かめる:モバイルバッテリーの発火を防ぐ
- 長持ちさせる充電の仕方:スマホのバッテリーを長持ちさせる
- 落としたあとに熱い・ふくらむときは使用中止:充電口に「水」「ごみ」「斜め差し」はNG
- リコール対象の製品は使わない:リコール対象かを確かめる方法

プレ男ポケットの中の電池に、50年分の研究がつまってるんだね。大事に使おう。

メル美太陽光の電気をためるのにも使えるって、未来の電気にも欠かせないんだね。
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まとめ
- リチウムイオン電池は、軽く、充電でき、パワフル。スマホから電気自動車、再エネの蓄電まで
- 1970年代 ウィッティンガム博士(最初のリチウム電池、2ボルト強)→ 1980年 グッドイナフ博士(コバルト酸化物で4ボルト)→ 1985年 吉野彰博士(炭素の負極で実用化)
- 1991年に発売。2019年ノーベル化学賞
- リチウムイオンが行き来するだけなので、何百回も充電できる
- つぶれる・傷つく・熱いは発火のもと。正しく使う
参考文献
- The Royal Swedish Academy of Sciences. Press release: The Nobel Prize in Chemistry 2019. NobelPrize.org. https://www.nobelprize.org/prizes/chemistry/2019/press-release/ (閲覧日:2026年10月5日)
- The Royal Swedish Academy of Sciences. Popular information: They developed the world’s most powerful battery. NobelPrize.org. https://www.nobelprize.org/prizes/chemistry/2019/popular-information/ (閲覧日:2026年10月5日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。