
プレ男イルカが人を助ける話って、むかしからあるの?

メル美古代ギリシャの歴史家ヘロドトスが書いてるんだって。歌の名人がイルカに助けられたお話。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回はギリシャの伝説、アリオンとイルカです。歴史家ヘロドトスの『歴史』第1巻23〜24章(A.D.ゴドリー英訳、1920年、ペルセウス・デジタル・ライブラリー)を読みました。ヘロドトスは「コリントスの人びととレスボスの人びとが言うには」と、言い伝えとして書いています。ギリシャ神話の全体はギリシャ神話の入門へ。

ピーテル・ブリューゲル(父)の原画による「強まる嵐の中の3隻の帆船と、イルカに乗るアリオン」(『帆船』の連作より)1561〜65年。エングレーヴィングとエッチング。メトロポリタン美術館所蔵(パブリックドメイン)。右下にアリオンがいます
プロフィール
| 出身 | レスボス島のメテュムナ |
| わざ | 竪琴の名手。当時ならぶ者がいなかった |
| はじめてしたこと | ディテュランボス(ディオニュソスにささげる歌舞)をつくって名づけ、コリントスで教えた |
| つかえた王 | コリントスの王ペリアンドロス |
| 助けた生きもの | イルカ |
1. 竪琴の名人
- ヘロドトスは、コリントスの王ペリアンドロスの生涯で「いちばんおどろくべきこと」として、この話を書いています
- 「このアリオンは、その時代にならぶ者のない竪琴の名手で、わたしたちの知るかぎり、はじめてディテュランボスをつくって名をつけ、のちにコリントスでそれを教えた」
- ゴドリーの注によると、ディテュランボスは、とくにディオニュソスの祭りにむすびついた歌と踊りでした(ディオニュソスはディオニュソスへ)
2. 船の上で
- アリオンは、ペリアンドロスのもとでくらしていましたが、イタリアとシチリアへ旅に出て、大金をかせぎました。そして、だれよりも信用していたコリントス人の船をやとって、タラスから帰ることにしました
- ところが沖に出ると、船乗りたちは、アリオンのお金をうばって、海へ投げこもうとたくらみました。気づいたアリオンは、「お金はさしあげます。命だけは」とたのみましたが、船乗りたちは聞き入れず、「自分で命をたって陸にほうむられるか、いますぐ海に飛びこむか、えらべ」とせまりました
- 追いつめられたアリオンは、「それなら、さいごに、晴れ着をすべて身につけて、船の上に立って歌わせてほしい」とたのみました

メル美こんなときに「歌わせて」って…。音楽家の誇りなのかな。
3. さいごの一曲
- 「船乗りたちは、世界一の歌い手の歌が聞けるとよろこんで、船尾から船のまんなかへさがった」
- アリオンは、晴れ着をすべて身につけ、竪琴を手に、船の上に立って、「オルティオス・ノモス(高い調べの歌)」を歌いました。ゴドリーの注によると、これはアポロンをたたえる、よく知られた歌でした
- 歌いおえると、アリオンは、晴れ着のまま海へ身をおどらせました
4. イルカの背に乗って
- 船乗りたちはそのままコリントスへむかいました。けれども、「言い伝えによれば、1頭のイルカがアリオンを背にのせて、タイナロン岬まではこんだ」といいます
- 岬にあがったアリオンは、晴れ着のままコリントスへ行き、すべてを話しました。王ペリアンドロスは信じられず、アリオンをどこへも行かせずに、船乗りたちを待ちました
- 船乗りたちがつくと、王はアリオンのことをたずねました。船乗りたちが「アリオンは無事にイタリアのタラスで元気にしていました」と答えていると、海に飛びこんだときのままの姿のアリオンがあらわれ、船乗りたちはもう言いのがれできませんでした
- ヘロドトスは、「タイナロン岬には、イルカに乗った男の小さな青銅の像が、アリオンの記念としておかれている」と書いています

プレ男「元気にしてました」ってうそをついたところに、本人登場! スカッとするね。

ヘロドトスによると、アリオンはさいごに晴れ着で歌って海へ飛びこみ、言い伝えでは、イルカが背にのせてタイナロン岬まではこびました。
まとめ
- アリオンは、ならぶ者のない竪琴の名手で、ディテュランボスをはじめてつくった人とされる
- 大金をねらう船乗りに海へ飛びこめとせまられ、さいごに晴れ着で一曲歌って海へ
- イルカが背にのせて、タイナロン岬まではこんだと伝えられる
- うそをついた船乗りたちの前に、アリオン本人があらわれた
- 同じくヘロドトスが伝える女性の戦士アマゾン族、古代ギリシャの本に出てくるふしぎな話ギュゲスの指輪、ディテュランボスの神ディオニュソス、歌でたたえられたアポロン、同じく竪琴の名人オルペウスもどうぞ
参考文献
- Herodotus. The Histories(英訳:A. D. Godley、1920年), 1.23–24 と注. Perseus Digital Library. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.01.0126:book=1:chapter=23 (閲覧日:2026年10月10日)
- メトロポリタン美術館. After Pieter Bruegel the Elder, Three Caravels in a Rising Squall with Arion on a Dolphin, from “The Sailing Vessels”, 1561–65(59.534.24、パブリックドメイン). https://www.metmuseum.org/art/collection/search/338713 (閲覧日:2026年10月10日)
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