
プレ男クジャクの羽の目玉もようって、神話から来てるって本当?

メル美『変身物語』には、牛に変えられたイオと、百の目の番人アルゴスのお話があるの。アルゴスの目が、女神の鳥の羽にかざられるんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回はギリシャ神話のイオです。オウィディウス『変身物語』第1巻(B.モア英訳、1922年、ペルセウス・デジタル・ライブラリー)を読みました。英訳では、ゼウスは「ユピテル(ジョーヴ)」、ヘラは「ユノ」、ヘルメスは「メルクリウス」とよばれています。ギリシャ神話の全体はギリシャ神話の入門へ。

アントニオ・テンペスタ『変身物語』の連作10番「メルクリウスに討たれるアルゴス」(1606年、エッチング)の左がわ。上はクジャクにアルゴスの目をかざるユノ、下は牝牛のイオ。メトロポリタン美術館所蔵(パブリックドメイン)
プロフィール
| 父 | 川の神イナコス |
| 変えられた姿 | 白い牝牛 |
| 変えた神 | ユピテル(ゼウス) |
| 見はり | 百の目をもつアルゴス |
| 助けた神 | メルクリウス(ヘルメス) |
| たどりついた所 | ナイル川 |
1. 白い牝牛
- 川の神イナコスは、むすめイオが見つからず、洞窟の中で涙を流していました
- じつは、ユピテルがイオを見そめ、にげるイオを黒い雲でつつんで、つかまえてしまったのです
- 地上に、昼なのに夜のような雲がかかっているのを見た妻ユノは、夫をうたがって地上におりてきました。ユピテルは、ユノが来るのを知って、とっさにイオを白い牝牛に変えました
- ユノは「だれの牛? どの群れの?」とたずね、その牛をおくりものとしてほしいと言いました。ことわれば、うたがいをみとめることになります。ユピテルは、牛をユノにわたしました

メル美イオは何も悪くないのに、牛にされて、おくりものにされちゃうなんて…。
2. 百の目のアルゴス
- ユノは、牛をアルゴスに見はらせました。アルゴスの頭には「百の目」があり、「2つずつ順番にねむり、ほかの目はいつも見はっていた」といいます。どちらを向いていても、目はイオを見ていました
- 昼は草を食べさせられ、夜は首に綱をつけられ、イオはつめたい地面でねむりました。うでをのばしてたのもうとしても、もううではありません。声を出せば、牛の鳴き声が出て、自分でおどろきました
3. ひづめで書いた名前
- イオは、むかしあそんだ父の川のほとりへ行きました。水にうつった角を見て、おどろいてにげだしました
- 父イナコスも、姉妹のニンフたちも、牛がイオだとは気づきません。父が草をさしだすと、イオは父の手をなめ、涙をおさえられませんでした
- 「言葉が涙のように出てくれれば、名前を言って、たすけをもとめられたのに」。そこでイオは、われたひづめで、地面の土に自分の名前の文字を書きました。こうして、父は娘の身におきたことを知りました

プレ男しゃべれないなら、書けばいい! イオ、かしこい!
4. 女神の鳥の羽の目
- ユピテルは、イオのくるしみを見ていられず、メルクリウスをつかわしました。メルクリウスは羊飼いのふりをして、葦笛をふき、物語を聞かせて、アルゴスの百の目をすべてねむらせ、アルゴスをたおしました
- 「アルゴスの百の目の光は消えた。けれどもサトゥルヌスの娘(ユノ)は、その目のかがやきを、自分の鳥の羽にちりばめ、尾を星のような宝石でかざった」——テンペスタの版画(上の図)では、ユノのそばにクジャクがえがかれています

『変身物語』では、ユノはアルゴスの百の目のかがやきを、自分の鳥の羽にちりばめ、尾を星のような宝石でかざりました。
5. ナイル川で
- それでもユノのいかりはおさまらず、目に見えないとげをイオの胸にうちこみ、世界じゅうをさまよわせました
- さいごにたどりついたのはナイル川のほとりでした。イオはひざをつき、星を見あげて、なき、ユピテルにうったえました
- ユピテルは妻に「もう、この子があなたをなやませることはない」とちかい、ユノはゆるしました。イオの体から毛がぬけ、角が消え、ひづめは5本の指になり、人間の姿にもどりました。けれども、また牛の声が出てしまうのではないかとこわくて、しばらくは言葉を話すのをおそれた、と書かれています
まとめ
- イオは、川の神イナコスの娘
- ユピテルが、ユノの目をごまかすために白い牝牛に変えた
- ユノは牛をもらいうけ、百の目のアルゴスに見はらせた
- しゃべれないイオは、ひづめで地面に名前を書いて、父に気づいてもらった
- アルゴスの百の目は、ユノの鳥の羽にかざられた
- ナイル川までさまよったイオは、やっと人間の姿にもどった
- アルゴスに語りかけた葦笛のおこりはパンへ。女神ヘラ、アルゴスをねむらせたヘルメス、同じ『変身物語』1巻のダプネもどうぞ
参考文献
- Ovid. Metamorphoses, 1.568–746(英訳:Brookes More、1922年). Perseus Digital Library. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.02.0028:book=1:card=568 (閲覧日:2026年10月10日)
- メトロポリタン美術館. Antonio Tempesta, Plate 10: Mercury Killing Argos (Argus a Mercurio iugulatur), from Ovid’s ‘Metamorphoses’, 1606(51.501.3861、パブリックドメイン). https://www.metmuseum.org/art/collection/search/400896 (閲覧日:2026年10月10日)
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