
プレ男青い肌で笛をふく神さまって、クリシュナだよね? 山をもちあげたって本当?

メル美うん。大雨から村をまもるために、山をかさみたいにしたんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回はインド神話のクリシュナとゴーヴァルダナ山です。『ヴィシュヌ・プラーナ』第5部10〜12章を、マンマタ・ナート・ダットの英訳(1896年、Project Gutenberg)で読みました。聖仙パラーシャラが、弟子マイトレーヤに語るという形の本です。インド神話の全体はインド神話の入門へ。

「ゴーヴァルダナ山をもちあげるクリシュナ」1780〜90年ごろ、北インド・カーングラ派。紙にテンペラ、金。クリーブランド美術館所蔵(CC0)。右上に、象に乗ったインドラがえがかれています
プロフィール
| クリシュナ | 牛飼いの村(ゴークラ、ヴラジャ)で育った少年。英訳ではハリ、ダーモーダラともよばれる |
| 育ての父 | 牛飼いのナンダ |
| あらそった神 | 雨の神インドラ(シャクラ) |
| もちあげた山 | ゴーヴァルダナ山 |
| 嵐の長さ | 7日7晩 |
1. 「ぼくたちの神は、牛と山だ」
- 雨季の終わりには、村人たちは毎年、雨をふらせてくれる神インドラにまつりをささげていました。育ての父ナンダは、「インドラが雨をふらせるから、穀物がそだち、人は飢えない」と説明しました
- 少年クリシュナは言いました。「父さん、ぼくたちは田畑をたがやす人でも、商人でもない。森をわたりあるく牛飼いで、牛こそがぼくたちの神だ」
- 「田畑をたがやす人は田畑を、商人は商いを、牛飼いは牛を大切にする。自分をささえてくれるものを、うやまうべきだ」
- 「ゴーヴァルダナ山に祈りとそなえものをし、ミルクをあつめてふるまい、花かざりをつけた牛のまわりをめぐろう」

メル美自分たちのくらしをささえてくれるものに、感謝しようってことだね。
- 村人たちはよろこび、そのとおりにしました。山の頂では、クリシュナが「わたしが山である」と言ってそなえものを受け、いっぽうで、クリシュナの姿のままの彼も、村人といっしょに山をうやまった、と書かれています
2. インドラのいかり
- そなえものがもらえなくなったインドラは、ひどくおこり、嵐の雲たちに命じました。「牛飼いのナンダたちは、クリシュナをたよって、わたしへのそなえものをやめた。風と雨で、彼らのくらしのもとの牛を苦しめよ」
- 雲は、すさまじい風と雨をふらせました。大地も、四方も、空も、雨でひとつになり、昼も夜も水がふりつづけました
- 牛たちはちぢこまり、子牛をわき腹でかばう牛もいました。子牛たちは、ふるえながら母牛を見あげ、まるでクリシュナに助けをもとめるように、小さな声で鳴きました
3. 山のかさ
- クリシュナは思いました。「これは、まつりをとめられて腹をたてたインドラのしわざだ。牛飼いの村をまもるのは、わたしのつとめだ。この大きな山をもちあげて、牛小屋の上の大きなかさにしよう」
- そして、「たわむれるように、片手で」ゴーヴァルダナ山をもちあげ、牛飼いたちに言いました。「見て、山は高くもちあがった。すぐに下に入って。ここなら嵐をよけられる。山が落ちることはないから、こわがらないで」
- 人びとは、牛も、車も、荷物もいっしょに山の下に入りました。牛飼いの男たちも女たちも、山をささえるクリシュナを、よろこびとおどろきで見つめ、その栄光を歌いました

プレ男「たわむれるように片手で」! 7日間ずっと、山をもちあげてたの!?
4. 7日7晩
- インドラのつかわした雲は、7日7晩、雨をふらせつづけましたが、人びとは山にまもられていました
- 思いどおりにならなかったインドラは、雲に「やめよ」と命じました。空が晴れると、人びとは山の下から出て、家に帰りました。クリシュナは、ゴーヴァルダナ山を、もとの場所にもどしました

『ヴィシュヌ・プラーナ』では、クリシュナはゴーヴァルダナ山を片手でかさのようにもちあげ、7日7晩の雨から村人と牛たちをまもりました。
5. インドラのおとずれ
- そのあと、インドラは象アイラーヴァタに乗って、クリシュナに会いに来ました。牛飼いの少年の姿のクリシュナの頭の上には、人には見えない鳥の王ガルダが、翼をひろげてかげをつくっていた、と書かれています
- インドラは象からおりて言いました。「あなたは、大地の重荷をかるくするために地上におりてきた、世界をささえる方です。まつりをとめられて腹をたて、雲にゴークラを水びたしにさせたのは、わたしのあやまちでした」
まとめ
- クリシュナは、牛飼いの村で育った少年の姿の神
- 「牛飼いの神は、牛と山だ」と、インドラへのまつりのかわりに、ゴーヴァルダナ山と牛をうやまうようすすめた
- いかったインドラは、7日7晩の嵐をふらせた
- クリシュナは、山を片手でかさのようにもちあげ、村人と牛をまもった
- のちにインドラは、自分のあやまちをみとめた
- 同じ『ヴィシュヌ・プラーナ』の、北極星になった王子ドゥルヴァ、ヴィシュヌ、雨の神インドラ、叙事詩『ラーマーヤナ』の英雄ラーマもどうぞ
参考文献
- Manmatha Nath Dutt(英訳). A Prose English Translation of Vishnupuranam(Calcutta, 1896). Part V, Sections X–XII. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/66208 (閲覧日:2026年10月10日)
- クリーブランド美術館. Krishna Lifting Mount Govardhan, Kangra, c. 1780–90(2001.45、CC0). https://clevelandart.org/art/2001.45 (閲覧日:2026年10月10日)
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