
プレ男ワルキューレって、ゲームでよく見る、よろいを着た戦う女の子だよね!

メル美もとの北欧神話では、戦場で「だれが死ぬか」をえらぶ乙女たちなんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回は北欧神話のワルキューレです。スノッリ・ストゥルルソンの『新エッダ』の「ギュルヴィたぶらかし」(R.B.アンダーソン英訳、1879年)と、『古エッダ』の「巫女の予言」「グリームニルの歌」「勝利をもたらす者の歌」(H.A.ベローズ英訳、1923年)を読みました。北欧神話の全体は北欧神話の入門へ。

ペーテル・ニコライ・アルボ「ワルキューレ」1869年。油彩。ノルウェー国立美術館所蔵。ウィキメディア・コモンズ(パブリックドメイン)
プロフィール
| 名前の意味 | 「戦死者をえらぶ者」(ベローズの注) |
| 主人 | オーディン |
| しごと | 戦場でたおれる者をえらび、勝利を決める。ヴァルハラで勇士に酒をはこぶ |
| べつのよび名 | 「のぞみの乙女」(オーディンののぞみをかなえる者、ベローズの注) |
| 名前の例 | フリスト、ミスト、スケッギョルド、スコグル、ヒルド、スルーズ、ゴンドゥルなど |
1. 戦死者をえらぶ乙女
『新エッダ』ギュルヴィたぶらかし(アンダーソン訳の37章)です。
- 「これらをワルキューレという。オーディンは彼女たちを、すべての戦いへつかわす。そこで彼女たちは、殺される者をえらび、勝利を決める」
- 「グズとロスタ、そして、いちばん若いノルンのスクルドは、いつも馬に乗って戦いをかたむけ、殺される者をえらびに行く」
- ベローズの注は、ワルキューレを「戦死者をえらぶ者」とし、いちばん勇敢な戦士をヴァルハラへつれていって、神々の最後の戦いにそなえる、と説明しています

メル美運命の女神ノルンのスクルドも、ワルキューレといっしょに戦場をかけるんだ。
2. ヴァルハラで酒をはこぶ
- 『古エッダ』の「グリームニルの歌」36節で、オーディンはこう語ります。「フリストとミストは、わたしに角杯をはこぶ。スケッギョルドとスコグル、ヒルドとスルーズ、フロックとヘルフィョトゥル、ゴルとゲイロヌル、ランドグリーズとラーズグリーズ、そしてレギンレイヴ。彼女たちは勇士たちにビールをはこぶ」
- スノッリは、この歌を引いて、ヴァルハラで酒をはこび、食卓につかえ、角杯をくばるのもワルキューレだと書いています
- ヴァルハラの勇士(エインヘリャル)たちは、ギュルヴィたぶらかし(42章)によると、「毎朝、武器をとって中庭へ出て、たがいに戦う。それが彼らのあそびだ。朝食のころには馬でヴァルハラへ帰り、すわって酒をのむ」といいます
3. 馬に乗ってあつまる
- 『古エッダ』の「巫女の予言」31節で、巫女はこう語ります。「わたしは見た。あちこちからワルキューレたちがあつまり、神々の軍へ馬を走らせようとしているのを。スクルドが盾をもち、スコグルがつづいた。グズ、ヒルド、ゴンドゥル、そしてゲイルスコグル。これがヘリヤン(オーディン)の乙女たちの名前」

プレ男名前がたくさん! 本によってリストがちがうんだね。
- ベローズも、この名前のリストはあとから入れられたものかもしれず、「グリームニルの歌」36節とはまったくちがうリストになっている、と注で書いています
4. 盾の砦でねむるワルキューレ
『古エッダ』の「勝利をもたらす者の歌」(シグルドリーファの歌)です。竜ファフニールをたおした英雄シグルズの話のつづきです。
- シグルズは、ヒンダルフィヤルの山で、火がもえているような大きな光を見ました。そこには盾をつみあげた砦があり、中で、武器をすべて身につけた人がねむっていました
- かぶとをとると、それは女性でした。くさりかたびらは、体にはりついたようにぬげません。シグルズが剣でよろいを切りひらくと、彼女は目をさましました。「何がわたしのよろいをかみやぶったのか。だれが、わたしの眠りをやぶったのか」
- 彼女はワルキューレでした。ふたりの王が戦ったとき、オーディンは年老いた王ヒャルムグンナルに勝利を約束していましたが、彼女はその王をたおしてしまいました。そのため、オーディンは彼女を「眠りのとげ」でさし、「もう戦いで勝利をえることはない。結婚するのだ」と言いました
- 彼女は言います。「わたしも、ちかいをたてました。おそれを知る男とは、けっして結婚しないと」
- そして、ねむりからさめた彼女は、昼と夜、神々と女神たちをたたえ、「知恵と、よい言葉と、いやしの手を、わたしたちにあたえてください」と祈りました。それから、シグルズにルーン文字の知恵を教えます

ギュルヴィたぶらかしでは、オーディンはワルキューレたちをすべての戦いへつかわし、彼女たちは殺される者をえらび、勝利を決めるとされています。
まとめ
- ワルキューレは、オーディンにつかわされて戦場へ行き、たおれる者をえらび、勝利を決める乙女たち
- ヴァルハラでは、勇士たちに酒をはこぶ
- 名前のリストは、「巫女の予言」と「グリームニルの歌」でちがう
- オーディンにさからったワルキューレは眠りのとげでさされ、盾の砦でねむっていたところを、英雄シグルズに起こされた
- オーディンがワシになって詩の蜜酒をうばった話は詩の蜜酒へ。主人のオーディン、戦死者の半分をえらぶ女神フレイヤ、シグルズがたおしたファフニールもどうぞ
参考文献
- Rasmus B. Anderson(英訳). The Younger Edda(1879年). Gylfaginning 37, 42(アンダーソン訳の章番号). Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/18947 (閲覧日:2026年10月10日)
- Henry Adams Bellows(英訳). The Poetic Edda(1923年). Voluspo 31 と注; Grimnismol 36 と注; Sigrdrifumol(前書きの散文、1–5節と注). Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/73533 (閲覧日:2026年10月10日)
- ウィキメディア・コモンズ. Peter Nicolai Arbo - The Valkyrie - NG.M.00259(1869年、パブリックドメイン). https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Peter_Nicolai_Arbo_-_The_Valkyrie_-_NG.M.00259_-_National_Museum_of_Art,_Architecture_and_Design.jpg (閲覧日:2026年10月10日)
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