
プレ男ファフニールって、ゲームのボスで出てくる竜だよね!

メル美もとは竜じゃなかったんだって。黄金がほしくて、竜になっちゃったの。
こんにちは、Dr. Taro です。 幻獣の解説、今回は北欧のファフニールです。『詩のエッダ』の「レギンの歌」「ファーヴニルの歌」(H.A.ベローズ訳、1923年)と、スノッリ『エッダ』(R.B.アンダーソン訳、1879年)の英訳(どちらもプロジェクト・グーテンベルク)を読みました。北欧神話の全体は北欧神話の入門へ。

アーサー・ラッカム「ファフニールをたおすシグルズ」1911年(ワーグナー『ジークフリートと神々の黄昏』英訳本のさし絵)。ウィキメディア・コモンズ(パブリックドメイン。作者は1939年没)
プロフィール
| 名前 | ファフニール(英訳では Fafnir、Fafner) |
| 家族 | 父フレイズマル、兄弟レギン(ドワーフのように小さく、知恵と魔法にたけていた)とオトル |
| すがた | もとはフレイズマルの息子(兄弟レギンは「ドワーフのように小さい」と書かれる)。のちに竜(大蛇)の姿になった |
| すみか | グニタヘイズ(きらめく荒野) |
| まもるもの | 神々がつぐないにさしだした黄金と、呪いの指輪アンドヴァラナウト |
| たおした英雄 | シグルズ |
1. カワウソのつぐない
『詩のエッダ』の「レギンの歌」の散文です。レギンが、育てている少年シグルズに語ります。
- オーディン、ヘーニル、ロキの3柱が、ドワーフのアンドヴァリの滝に来ました。そこでは、レギンの兄弟オトルが、カワウソの姿でサケを食べていました。ロキは石を投げてカワウソを殺し、その皮をはぎます
- その夜、神々はレギンの父フレイズマルの家にとまり、獲物を見せました。フレイズマルたちは神々をとらえ、「命がほしければ、カワウソの皮の中を黄金でみたし、外も赤い黄金ですっかりおおえ」と言いました
2. 呪われた黄金
- ロキは、カワカマスの姿で滝にすむドワーフのアンドヴァリを網でつかまえ、黄金をすべて出させました。最後にアンドヴァリがかくした1つの指輪も、ロキはとりあげます
- アンドヴァリは岩穴に入りながら、呪いの言葉をのこしました。「グストがもっていたこの黄金は、兄弟2人に死をもたらし、8人の英雄にわざわいとなる。わたしの財宝をよろこぶ者は、だれもいない」
- 神々はカワウソの皮を黄金でおおいましたが、ひげが1本見えていたので、オーディンが指輪アンドヴァラナウトでかくしました

プレ男指輪までうばわれたから、呪いをかけたんだ…。
3. 竜になったファフニール
- ファフニールとレギンは、兄弟オトルのつぐないの分け前を父にもとめましたが、父はことわりました。するとファフニールは、ねむっている父を剣でさし、黄金をすべてひとりじめにしました(「レギンの歌」)
- スノッリ『エッダ』の「詩語法」は、そのあとをこう書いています。「ファフニールはグニタヘイズ(きらめく荒野)へ行き、そこに寝床を作り、大蛇(竜)の姿になって、黄金の上にねそべっていた」
4. みぞからの一撃
「ファーヴニルの歌」の散文です。
- シグルズとレギンはグニタヘイズへ行き、ファフニールが水をのみに通る道のあとを見つけました。シグルズは、道を横切る大きなみぞをほって、その中にかくれます
- ファフニールが黄金からはいだしてくると、毒をはき、それがシグルズの頭に上からふりかかりました。けれども、竜がみぞの上を通ったとき、シグルズは剣を下からつきさし、心臓までとどかせました
- ファフニールが「若者よ、だれの子だ」とたずねると、シグルズは名をかくしました。英訳の散文は、「むかしは、死にゆく者が敵の名をよんでのろうと、大きな力があると信じられていたから」と説明しています
5. 鳥のことば
- レギンはファフニールの心臓をとりだし、シグルズに「この心臓を火であぶってくれ」とたのんで、ねむりました
- シグルズが心臓を串にさして焼き、焼けたかを指でたしかめると、指をやけどしました。その指を口に入れて、竜の心臓の血が舌についたとき、シグルズは鳥のことばがわかるようになりました
- しげみのゴジュウカラたちが話しています。「あそこにレギンがねている。信じている若者を、うそでうらぎろうとたくらんでいる」。こうしてシグルズは、レギンのたくらみを知ったのです

メル美やけどした指をなめて知恵を得るのは、アイルランドのフィンの「知恵のサケ」とそっくりだね。

『詩のエッダ』の散文では、シグルズはファフニールが水をのみに通る道にみぞをほってかくれ、竜がその上を通ったときに剣を下からつきさしました。
まとめ
- ファフニールは、もとはフレイズマルの息子。呪われた黄金をひとりじめするため父を殺した
- グニタヘイズで竜(大蛇)の姿になり、黄金の上にねそべった
- 英雄シグルズは、竜の通り道にみぞをほってかくれ、下から心臓をつらぬいた
- 竜の心臓の血が舌につくと、シグルズは鳥のことばがわかるようになり、レギンのたくらみを知った
- シグルズがこのあと盾の砦で起こしたワルキューレ、黄金をうばったロキ、指輪で皮をおおったオーディン、北欧の大蛇ヨルムンガンド、やけどした親指で知恵を得たアイルランドのフィン・マックールもどうぞ
参考文献
- Henry Adams Bellows(英訳). The Poetic Edda(1923年). Reginsmol(散文と1〜12節); Fafnismol(散文と1〜2節、31〜34節). Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/73533 (閲覧日:2026年10月10日)
- Rasmus B. Anderson(英訳). The Younger Edda(1879年). Skaldskaparmal のファフニールの黄金の話. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/18947 (閲覧日:2026年10月10日)
- Arthur Rackham. Sigurd kills Fafnir(Richard Wagner, Siegfried and the Twilight of the Gods, 英訳 Margaret Armour, 1911年のさし絵). Wikimedia Commons(パブリックドメイン). https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Sigurd_kills_Fafnir_by_Rackham.jpg (閲覧日:2026年10月10日)
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