
プレ男この前、満員電車で急に心臓がバクバクして、息ができなくなって…。本気で「死ぬかも」って思ったんだ。

メル美わたしも、人の多いお店で急に苦しくなったことがある。あれって何だったんだろう?
こんにちは、Dr. Taro です。 急に強い恐怖におそわれ、動悸や息苦しさが一気に出てくる。それはパニック発作かもしれません。 米国国立精神衛生研究所(NIMH)と、日本の国立精神・神経医療研究センター(NCNP)の解説をもとにまとめました。
パニック発作とは
NIMH によると、パニック発作は、はっきりした危険やきっかけがないのに、突然おそってくる強い恐怖や不快感、「自分をコントロールできなくなる」感じの波です。
発作のときの体の症状には、次のようなものがあります(NIMH)。
- 心臓がドキドキする、脈が速くなる
- 汗をかく、寒気がする、ふるえる
- 息がしにくい
- 力が抜ける、めまいがする
- 手がピリピリする、しびれる
- 胸の痛み
- 腹痛、吐き気
発作の最中に「死ぬのではないか」「何か悪いことが起きる」という恐怖を感じることもあります。
- 発作の長さは、数分から1時間、ときにはもっと長く続くこともあります
- とてもつらいものですが、発作そのものは命に関わるものではなく、体の症状はたいてい時間とともにおさまります(NIMH)
- NCNP は、不安は最初の5分間くらいがもっとも強く、そのあとはだんだん横ばいになったり、軽くなったりしていくと説明しています
1回の発作と「パニック症」はちがう
- NIMH は、1回だけ、またはときどき起こる発作は、それだけでは精神の病気ではないとしています
- パニック症(パニック障害)は、予想できない発作をくり返し、そのうえで「また発作が起きたら」という心配、発作の意味へのおびえ、発作をさけるための行動の変化が少なくとも1か月続く場合に診断されることがあります(NIMH)
- NCNP は、パニック症では「発作が起きるのではないか」という予期不安のために行動が制限され、生活に大きな支障が出ると説明しています
「逃げられない場所」がこわくなる広場恐怖症
- パニック症に、広場恐怖症が重なることがあります(NIMH)
- NCNP によると、広場恐怖症は、不安になったときにすぐに逃げ帰れないような場所への不安で、公共交通機関、建物の中、1人での外出などが含まれます。その場所をさけたり、付き添いが必要になったりします

メル美電車に乗るのがこわくなって、乗らないようにしていたら、それも「さける行動」なんだね。
なりやすい時期と、重なりやすいもの
- NIMH によると、パニック症は10代の終わりから大人になったばかりのころに始まることが多く、女性のほうがなりやすいとされています
- うつ病、ほかの不安症、PTSD、甲状腺の病気などと重なることがあり、お酒や薬物の使いすぎともよく関連します(NIMH)
最初の発作のあとは、まず内科で体のチェックを
NCNP は、動悸や息苦しさがあるときは、まず内科の診察を受けてくださいとしています。
- 甲状腺機能亢進症、不整脈、貧血によって不安が生じることもあるためです
- NIMH も、医療者が体の診察をして、ほかの体の病気が原因でないかを確かめることがあると説明しています
自分でできること
カフェインのとりすぎに注意
- NCNP は、カフェインのとりすぎで不安が悪化することは少なくないとし、場合によっては少しずつ減らすことをすすめています
- お酒やカフェインなどの物質、治療薬によって生じる不安もあります(NCNP)。エナジードリンクのカフェインについては、カフェインはどこまでOK?にまとめています
呼吸法
- NCNP は、呼吸法は多くの場合、不安の軽減に有効としています
- まず呼吸筋をほぐすストレッチをして、ゆっくりと息を吐く練習をします
- NCNP のすすめる目安は、ストレッチを1日1回、呼吸法を1回5分・1日3セット。NCNP 精神保健研究所 行動医学研究部の「不安との付き合い方」のページに、実技の動画があります
- 呼吸を整える方法の研究は、ブレスワークの記事も参考にしてください
生活の土台を整える
- NIMH は、十分な睡眠と運動、健康的な食事、信頼できる家族や友人に頼ることも助けになるとしています。ただし、これだけで治療の代わりにはならないとも書いています(睡眠の基本)
治療
NCNP と NIMH は、主に次の治療をあげています。
- 認知行動療法:不安を強めてしまう考え方や行動を少しずつ見直し、不安をコントロールできるという自信を取り戻す治療です。NCNP は「薬物療法と同じか、それ以上の効果があることが知られている」とし、不安症のタイプによってやり方はさまざまで、多くは保険適用になっているとしています
- SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬):うつ病の薬で、多くの不安症に有効とされています。すぐに効くものではなく、続けることで効果が出てきます(NCNP)
- 抗不安薬:すぐに効果が見られますが、続けていると依存を生じることがあるので注意が必要です(NCNP)。NIMH も、使うとしても短い期間にとどめることがあるとしています

プレ男「気が弱いから」じゃなくて、ちゃんと治療法があるんだね。まずは内科で体を診てもらうところからかな。
相談するタイミング
- NIMH は、不安が学校や仕事、友人や家族との関係など、ふだんの生活に問題を起こし始めたら、専門家の助けを求めるときだとしています
- NCNP は、大人の場合はこの半年をふり返って、過去の自分より明らかに不安が増えて自信を失っている、不安をさけるために特定の場所や人・状況をさけることにこだわっている、生活や行動に影響が出ていると感じたら、専門家に相談してほしいとしています
- 受診のしかたは心療内科・精神科のかかり方に、電話の相談窓口はこころの相談先にまとめています
まとめ
- パニック発作は、危険がないのに突然おそう強い恐怖と、動悸・息苦しさ・めまいなどの体の症状
- つらいけれど、発作そのものは命に関わらず、症状はたいてい時間とともにおさまる(NIMH)
- 発作をくり返し、「また起きたら」の心配や行動の変化が1か月以上続くとパニック症のことがある
- 動悸や息苦しさがあるときは、まず内科で甲状腺・不整脈・貧血などをチェック(NCNP)
- カフェインを控える、呼吸法。治療は認知行動療法やSSRIなど
参考文献
- National Institute of Mental Health (NIMH). Panic Disorder: When Fear Overwhelms (Revised 2025). https://www.nimh.nih.gov/health/publications/panic-disorder-when-fear-overwhelms (閲覧日:2026年10月22日)
- 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所. こころの情報サイト:不安症. https://kokoro.ncnp.go.jp/disease.php?@uid=BLA9JV0KhiWPIMzX (閲覧日:2026年10月22日)
- 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 行動医学研究部. 不安との付き合い方. https://www.ncnp.go.jp/nimh/behavior/anxiety/index.html (閲覧日:2026年10月22日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。