基礎知識2026年10月10日

おしり(直腸)のクラミジア・淋菌:症状がほとんどなく、知らないうちにうつす原因に。尿の検査ではわからないので、おしりの綿棒の検査が必要(自分でとってもよい)。2025年7月からPCR法の直腸の検査は保険の対象に。直腸のクラミジアはドキシサイクリンが第一選択

クラミジアや淋菌は、性器だけでなく、おしり(直腸)にも感染します。国立健康危機管理研究機構エイズ治療・研究開発センター(ACC)の手引き(2023年)によると、直腸の感染は症状がとぼしく、気づかないまま、ほかの人への感染源になっています。とくに男性と性交する男性(MSM)では、症状のない直腸の感染がとても多いとされます。検査は、綿棒を肛門に約3cm入れて直腸の壁をこすってとり、自分でとっても医師がとっても精度に大きな差はありません。日本では直腸の検体の検査は保険がきかず自費とされてきましたが、2025年7月1日から、PCR法による直腸の検体の検査も保険で算定できるようになりました。

目次
  1. 症状がないまま、うつす原因に
  2. おしりの検査のしかた
  3. 日本での直腸の検査の保険の扱い
  4. 治療
  5. まとめ

プレ男尿の検査でクラミジアも淋菌も陰性だったって。それなら安心だよね?

メル美でも、のどやおしりにうつっていることもあるって聞いたよ。尿の検査でそれもわかるのかな。

こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、おしり(直腸)のクラミジアと淋菌の話です。国立健康危機管理研究機構エイズ治療・研究開発センター(ACC)の「抗HIV治療ガイドライン・治療の手引き」の「クラミジア、淋菌、マイコプラズマ・ジェニタリウム(尿道・子宮頚管炎、咽頭・直腸感染)」(2023年10月16日更新)をもとにまとめました。

症状がないまま、うつす原因に

ACCの手引きによると、

尿(性器)の検査では、のどやおしりの感染はわかりません。米国CDCのガイドラインでは、MSMで性器だけを検査すると、淋菌とクラミジアの感染の約70%を見のがすおそれがあるとされています(男性同士のセックスと性の健康)。

おしりやのどの感染は、症状がないことが多く、尿の検査ではわかりません。検査を受けるときは、どこで性的な接触があったかを医師に伝えて、必要な場所の検査を受けてください。

おしりの検査のしかた

ACCの手引きによると、

日本での直腸の検査の保険の扱い

ACCの手引き(2023年10月時点)によると、日本では直腸の検体での検査は保険がきかない(保険収載されていない)ため、自費の検査になります。そのため、日本では直腸の感染があまり注目されてこなかったとされています。

(更新)厚生労働省保険局医療課の通知「「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」の一部改正について」(令和7年6月30日 保医発0630第2号)で、クラミジア・トラコマチス核酸検出、淋菌核酸検出、淋菌及びクラミジア・トラコマチス同時核酸検出について、PCR法では直腸からの検体で行った場合も算定できる(保険で検査できる)と改められ、2025年7月1日から適用されています。ACCの手引き(2023年10月時点)の「保険がきかない」は、それより前の扱いです。PCR法以外の方法や、2026年度の診療報酬改定のあとの扱い、実際に保険で検査できる医療機関は、この記事では確認していません

治療

ACCの手引きによると、

クラミジアそのものについてはクラミジア、おしりの痛みや分泌物などの症状がある場合は直腸炎を見てください。

まとめ


参考文献

  1. 国立健康危機管理研究機構 エイズ治療・研究開発センター(ACC). 抗HIV治療ガイドライン・治療の手引き:クラミジア、淋菌、マイコプラズマ・ジェニタリウム(尿道・子宮頚管炎、咽頭・直腸感染)(Last updated: 2023-10-16). https://www.acc.jihs.go.jp/medics/treatment/handbook/part2/no40.html (閲覧日:2026年10月10日)
  2. Workowski KA, et al. Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines, 2021. MMWR Recomm Rep. 2021;70(4):1–187. https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/70/rr/rr7004a1.htm (閲覧日:2026年10月10日)
  3. 厚生労働省保険局医療課長・歯科医療管理官. 「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」の一部改正について(令和7年6月30日 保医発0630第2号、日本性感染症学会のサイトに掲載). https://jssti.jp/pdf/001511622.pdf (閲覧日:2026年10月12日)

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。