
プレ男彼女とのデートの写真、かわいく撮れたからストーリーに上げたら「勝手に載せないで」って怒られた…。顔が写ってるだけで、悪いことはしてないと思うんだけど。

メル美私も、飲み会で変な顔の写真を友だちに投稿されて、すごくいやだったことがある。「肖像権」ってどういう権利なんだろう。
今回は、写真と肖像権です。最高裁判所の判例(裁判所ウェブサイトの判示事項・裁判要旨)と、総務省・法務省の資料で確かめました。
この記事は一般的な解説で、法律相談の代わりにはなりません。投稿を消してもらえない、拡散されて困っているときは、法務局の人権相談(みんなの人権110番 0570-003-110)や弁護士に相談してください。
「肖像権」は、判例と考え方で守られている
- 「肖像権」という言葉は、e-Gov法令検索の民法の本文には出てきません。考え方の土台になっているのは、裁判所の判例です
- 最高裁判所第一小法廷 平成17年11月10日判決(平成15年(受)第281号 損害賠償請求事件)の裁判要旨1:
- 人は、みだりに自己の容ぼう、姿態を撮影されないということについて、法律上保護されるべき人格的利益を有する
- ある人の容ぼう・姿態を、その承諾なく撮影することが不法行為法上違法となるかどうかは、
- 撮影された人の社会的地位、撮影された人の活動内容、撮影の場所、撮影の目的、撮影の態様、撮影の必要性等を総合考慮して、
- その人格的利益の侵害が「社会生活上受忍すべき限度」をこえるかどうかで判断する
- 参照法条には、民法709条・710条(不法行為と慰謝料)と、憲法13条(個人の尊重)が挙げられています

プレ男「写ってたら即アウト」でも「友だちならOK」でもなくて、場所や目的、撮り方をまとめて見て判断するんだね。
この判決の事件では
- 写真週刊誌のカメラマンが、刑事事件の法廷で、手錠・腰縄をつけられた被疑者の姿を、裁判所の許可なく隠し撮りした行為は、違法とされました(裁判要旨2)
- 法廷の様子を描いたイラスト画の公表については、人は自分の容ぼう・姿態を描いたイラスト画をみだりに公表されない人格的利益ももつとしたうえで、資料を見せられている姿などを描いたものは違法とはいえず、手錠・腰縄で拘束された姿を描いたものは違法、と判断が分かれました(裁判要旨3〜5)
総務省の説明:家族や友だちの投稿も
総務省の「ICT活用リテラシー向上プロジェクト」は、肖像権を次のように説明しています。
- 人格権の一部で、他人から無断で写真を撮られたり、撮られた写真が無断で公表・利用されないように主張できる権利。アーティストやタレントに限らず、誰にでも認められる権利
- 自分が写っている写真を、断りなく家族や友だちのSNSに投稿されていやな気持ちになった、という場合も、肖像権侵害に該当する場合がある
- 人物の写真は、撮った人などが著作権をもつだけでなく、写っている人に肖像権がある。ネットやSNSで公開・投稿するときは、これらの権利者の許諾が必要になる場合がある
- 自分が写っている写真が無断で投稿され、公開してほしくないときは、肖像権侵害に該当することを伝え、投稿者に削除を依頼する

メル美投稿する前に「これ載せていい?」って一言聞く。それだけでトラブルの多くは防げそうだね。
もっと深刻なケースは、刑法などの問題に
- 性的な部位や下着などをひそかに撮影するのは、撮影罪の問題になります
- 恋人の裸の画像などを、元恋人がネットに出すのは、リベンジポルノ防止法の問題です
- 写真に悪口をそえて拡散すれば、名誉毀損や侮辱になりうることも。SNSの悪口と侮辱罪
- 他人が撮った写真を勝手に使うのは、著作権の問題にもなります。引用のルール
投稿を消してほしいときは
- まずは投稿者に削除を依頼する(総務省の説明)
- 応じてもらえないとき、だれが投稿したかわからないときは、サイトやSNSの運営会社への削除の申出や、投稿者を調べる手続もあります。ネットで誹謗中傷されたら(発信者情報開示)の記事で説明しています
- 法務省の人権相談:みんなの人権110番 0570-003-110。発信した地域によっては、その地域を管轄しない法務局で電話を受ける場合があります

最高裁は、人はみだりに自分の容ぼう・姿態を撮影されないことについて、法律上保護されるべき人格的利益をもつと判断しています。
まとめ
- 「肖像権」は民法の条文にはないが、最高裁はみだりに容ぼう・姿態を撮影されない人格的利益を認めている(平成17年11月10日)
- 承諾のない撮影が違法かどうかは、社会的地位・活動内容・場所・目的・態様・必要性などを総合して「社会生活上受忍すべき限度」をこえるかで判断
- 総務省:肖像権は誰にでも認められる権利。家族や友だちのSNSへの投稿も肖像権侵害に該当する場合がある
- いやな投稿は、まず削除を依頼。困ったらみんなの人権110番(0570-003-110)や弁護士へ
- 投稿する前に、写っている人に一言確認を
参考文献
- 最高裁判所第一小法廷 平成17年11月10日判決(平成15年(受)第281号 損害賠償請求事件). 民集59巻9号2428頁. 裁判所ウェブサイト. https://www.courts.go.jp/hanrei/52388/detail2/index.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 総務省. ICT活用リテラシー向上プロジェクト「知っておきたい16のキーワード:肖像権侵害」. https://www.soumu.go.jp/ict-mirai/keyword/portrait-rights-violation/ (閲覧日:2026年10月22日)
- 法務省. 常設相談所(法務局・地方法務局・支局内)(みんなの人権110番). https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken20.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 民法(明治29年法律第89号)第709条、第710条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089 (閲覧日:2026年10月22日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。