HIV・肝炎・性感染症、2030年の目標はどこまで来た?(WHO、2026年7月):HIVの新たな感染は2010年から42%減。でも性感染症は「目標から外れている」。淋菌の薬剤耐性、HPVワクチンと子宮頸がん検診の不足
世界保健機関(WHO)は2026年7月27日、HIV・ウイルス性肝炎・性感染症についての世界戦略(2022〜2030年)の進み具合をまとめた報告を発表しました。2025年末には推計3,200万人のHIVとともに生きる人が治療を受け、HIVの新たな感染は2010年から42%、エイズ関連の死亡は57%へりました。一方で、900万人はまだ治療を受けられず、2025年の国際的な資金の削減でPrEPの利用がへった国もあります。性感染症への対応は、ふえる感染、淋菌の薬剤耐性、HPVワクチンと子宮頸がん検診の不足から「目標から外れている」とされました。

プレ男世界は2030年までにHIVや性感染症をなくそうとしてるって聞いたけど、うまくいってるの?

メル美よくなっていることと、そうでないことがありそうだね。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、HIV・ウイルス性肝炎・性感染症の世界の目標の進み具合の話です。世界保健機関(WHO)の発表「WHO: Integration, innovation and community leadership key to ending HIV, hepatitis and STIs」(2026年7月27日)をもとにまとめました。WHOは、2022〜2030年の世界戦略の中間の評価として報告を出しました。
HIV:大きく前進、でも資金の削減が影響
WHOによると、
- 2025年末までに、推計3,200万人のHIVとともに生きる人が治療を受けていました
- 2010年から、HIVの新たな感染は42%、エイズ関連の死亡は57%へりました
- 一方で、900万人はまだ治療を受けられず、男性同士で性行為をする人、セックスワーカー、薬物を注射する人、トランスジェンダーの人などで、新たな感染がふえている地域もあります
- 2025年の国際的な資金の削減で、予防のプログラムがとだえ、PrEPの利用がへった国や地域があるとしています
世界のHIVの数字は、数字で見る世界のHIV(2025年、WHO)を見てください。
ウイルス性肝炎:死亡はまだふえている
WHOによると、
- 2015年から、B型肝炎の新たな感染は32%、C型肝炎に関連した死亡は12%へりました
- それでも、ウイルス性肝炎は2024年に推計130万人の命をうばい、死亡はふえつづけています。B型肝炎に関連した死亡は2015年から17%ふえ、とくにB型肝炎の診断と治療が十分に行きわたっていないとしています
性感染症:「目標から外れている」
WHOによると、
- 妊娠中の梅毒の検査と治療はよくなり、HPVワクチンの接種も少しふえました
- しかし、いくつかの国や集団で性感染症がふえていて、淋菌の治療に使う抗菌薬が効かなくなる(薬剤耐性)問題も大きくなっています
- HPVワクチンと子宮頸がん検診が十分でないことや、監視・検査・資金の不足もあり、性感染症への世界の対応は目標から外れている(off track)とされました

HIVは治療と予防が大きく進みましたが、性感染症はふえている国があり、淋菌の薬剤耐性も問題になっています。世界でも、検査を受けやすくすることが課題です。
これからの重点
WHOは、2030年に向けて、
- HIV・肝炎・性感染症の対応を、身近な医療(プライマリヘルスケア)で、結核、性と生殖の健康、母子の健康などとまとめて提供すること
- HIV・梅毒・B型肝炎の母子感染をなくすこと
- デジタルの活用、いくつもの病気をまとめて調べる検査、質の保証された性感染症の検査
- 年2回の注射によるHIV予防(レナカパビル)の導入(10か国で始まり、14か国で計画中)や、ドキシPEPの推奨など、新しい予防法を届けること
をあげています。

プレ男新しい予防法ができても、必要な人に届かなければ意味がないんだね。
淋菌の薬剤耐性は淋菌の薬が効かなくなっている(WHO、2025年)、レナカパビルは年2回の注射でHIVを予防する「レナカパビル」をWHOが推奨、ドキシPEPはWHOがドキシPEPを初めて推奨(2026年5月)を見てください。
WHOの性感染症の運用の手引きと有病率のデータベースについては、WHOの性感染症の新しい取り組み(2026年)を見てください。
まとめ
- HIVの新たな感染は2010年から42%減、エイズ関連の死亡は57%減
- でも900万人は治療を受けられず、資金の削減でPrEPの利用がへった国も
- ウイルス性肝炎の死亡は年130万人、B型肝炎の死亡は17%増
- 性感染症は目標から外れている。ふえる感染と淋菌の薬剤耐性
- 重点は、まとめて提供する医療と、新しい予防法を届けること
参考文献
- World Health Organization. WHO: Integration, innovation and community leadership key to ending HIV, hepatitis and STIs(News release, 27 July 2026). https://www.who.int/news/item/27-07-2026-who--integration--innovation-and-community-leadership-key-to-ending-hiv--hepatitis-and-stis (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
