避妊と性感染症の予防は別のもの:ピル、IUD、不妊手術などコンドーム以外の避妊法は、HIVやほかの性感染症を防がない。殺精子剤(ノノキシノール9)は、かえってHIVのリスクを高めることも
避妊をしていても、性感染症の予防になっているとはかぎりません。米国疾病予防管理センター(CDC)の性感染症治療ガイドライン(2021年)によると、物理的なバリアではない避妊法(ピル、IUDなど)や不妊手術は、HIVやほかの性感染症を防ぎません。殺精子剤のノノキシノール9(N-9)は、性器や直腸の粘膜を傷つけるおそれがあり、HIVに感染するリスクの上昇と関係していて、N-9つきのコンドームはN-9なしのコンドームより効果が高いわけではないため、性感染症とHIVの予防にはすすめられていません。コンドーム以外で避妊している人も、コンドームの使用などの予防を考えることが大切です。

プレ男パートナーがピルを飲んでいるから、コンドームはいらないよね?

メル美ピルは妊娠を防ぐもので、性感染症は防がないって聞いたよ。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、避妊と性感染症の予防のちがいの話です。米国疾病予防管理センター(CDC)の「性感染症治療ガイドライン2021」の予防の章(避妊法・殺精子剤など)をもとにまとめました。
コンドーム以外の避妊法は、性感染症を防がない
CDCのガイドラインによると、
- 物理的なバリアではない避妊法は、HIVやほかの性感染症を防ぎません
- アフリカの研究では、注射の避妊薬、黄体ホルモンのインプラント、銅のIUDのあいだで、HIVの感染率に差はみられませんでしたが、どのグループでもHIVの感染率は高かったとしています
- ピル(経口避妊薬)とHIV感染に関係はないとする研究が多い一方、ホルモンを使う避妊法がほかの性感染症のリスクを変えるかどうかはわかっていません
- 不妊手術や子宮の摘出も、性感染症を防ぐものではありません
- コンドーム以外の方法で避妊している人には、PrEPやPEP、性的なパートナーの数を減らすこと、コンドームを正しく毎回使うことなどの予防について説明すべきだとしています

ピルやIUDなどの避妊法は、妊娠を防ぐもので、性感染症は防ぎません。性感染症の予防には、コンドームなどを考えてください。
ピルについては低用量ピルとは?、IUDとインプラントについてはIUD・皮下インプラントとは?、不妊手術については不妊手術(パイプカット・卵管結紮)を見てください。
殺精子剤(ノノキシノール9)はすすめられない
CDCのガイドラインによると、
- 殺精子剤のノノキシノール9(N-9)は、性器や直腸の粘膜を傷つけるおそれがあり、HIV感染のリスクの上昇と関係しています
- N-9つきのコンドームは、N-9なしのコンドームより効果が高いわけではありません
- そのため、N-9は、単独でもコンドームにつけても、性感染症とHIVの予防にはすすめられません
- N-9の使用は、女性の細菌による尿路感染のリスクの上昇とも関係しています

プレ男殺精子剤をつければもっと安心、というわけじゃないんだね。かえってHIVのリスクが上がることもあるなんて。
ペッサリー(子宮頸部にかぶせる避妊具)も、頼りにしない
CDCのガイドラインによると、ペッサリーの使用で子宮頸部の淋菌・クラミジア・トリコモナスが減ったとする観察研究はありますが、コンドームにくらべてHIVやほかの性感染症を防ぐ効果が上乗せされることはなかったため、ペッサリーだけを予防にたよるべきではないとしています。
予防はコンドームで
コンドームの予防効果と正しい使い方は、コンドームで性感染症はどれくらい防げる?を見てください。避妊に失敗したときは、アフターピル(緊急避妊薬)とは?を見てください。
世界の避妊の数字は、世界の避妊(WHO、2025年)にまとめています。
まとめ
- ピル・IUD・インプラント・不妊手術は、性感染症を防がない
- 殺精子剤(N-9)は、粘膜を傷つけ、HIVのリスク上昇と関係。予防にはすすめられない
- N-9つきのコンドームは、なしのものより効果が高いわけではない
- ペッサリーだけを予防にたよらない
- 性感染症の予防には、コンドームを正しく毎回
参考文献
- Workowski KA, et al. Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines, 2021(Primary Prevention Methods: Cervical Diaphragms, Topical Microbicides and Spermicides, Nonbarrier Contraception). MMWR Recomm Rep. 2021;70(4):1–187. https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/70/rr/rr7004a1.htm (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
