ダイキン工業の強みとは:売上5兆円の9割超が空調。2026年3月期は売上高5兆150億円・営業利益4,150億円、売上の約84%が海外で、いちばん大きいのは米国(35.6%)。データセンター向けが伸びる一方、米国の住宅用と中国は苦戦
ダイキン工業を、2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月12日)で分析しました。売上高5兆150億円(+5.5%)、営業利益4,150億円(+3.3%、営業利益率8.3%)、親会社株主に帰属する当期純利益2,752億円(+4.0%)。空調・冷凍機事業は売上高4兆6,211億円・営業利益3,770億円(+7.4%)で、営業利益の約91%。化学事業は半導体需要の減速で営業利益331億円(−28.3%)。地域別では米国1兆7,865億円(35.6%)、欧州17.1%、日本16.1%、アジア・オセアニア14.2%、中国9.4%。米国の住宅用は関税に起因するインフレなどで需要が停滞し、中国は不動産不況で減収。2027年3月期は売上高5兆1,500億円・営業利益4,360億円の予想。米キャリアとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男ダイキンって、家のエアコンの会社でしょ? エアコンだけで売上5兆円ってすごくない?

メル美家だけじゃなくて、ビルや工場、海外でも売ってるのかな
企業分析の連載、16社目はダイキン工業です。2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月12日)で確認しました。比較には、米国の空調大手キャリア・グローバルの2025年の決算発表(2026年2月5日)を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、ダイキン株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
家庭用からビル・工場・データセンター向けまで、空調機器を世界で売る会社。空調の冷媒などをつくる化学事業も持つ
| 項目(日本基準・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 5兆150億円 | +5.5% |
| 営業利益 | 4,150億円 | +3.3% |
| 営業利益率 | 8.3% | 前期 8.5% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 2,752億円 | +4.0% |
| ROE(自己資本当期純利益率) | 9.1% | 前期 9.7% |
| 自己資本比率 | 55.9% | 前期 54.6% |
| 配当 | 年340円(配当性向36.2%) | 前期 330円 |
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 中身 | 売上高 | 営業利益 | 前期比(利益) |
|---|---|---|---|---|
| 空調・冷凍機 | 空調・冷凍機製品の製造(工事を含む)・販売 | 4兆6,211億円 | 3,770億円 | +7.4% |
| 化学 | フッ素化学製品(フッ素樹脂、フルオロカーボンガスなど) | 2,815億円 | 331億円 | −28.3% |
| その他 | 油機、特機、電子システム | 1,124億円 | 49億円 | +8.4% |
- 営業利益の約91%が空調・冷凍機です
| 地域(売上高) | 金額 | 割合 |
|---|---|---|
| 米国 | 1兆7,865億円 | 35.6% |
| 欧州 | 8,578億円 | 17.1% |
| 日本 | 8,096億円 | 16.1% |
| アジア・オセアニア | 7,112億円 | 14.2% |
| 中国 | 4,719億円 | 9.4% |
| その他 | 3,779億円 | 7.5% |
- 日本以外で約84%。いちばん大きいのは米国です
3. 強み
会社の資料で確かめられる事実から、強みと考えられる点を挙げます。
① 世界中に分散した売上
- 米国・欧州・日本・アジア・中国と、売上が1つの国に偏りすぎていない形です。2026年3月期は、中国やアジア・オセアニアが減収でも、全体では増収でした
② ビル・データセンター向け(アプライド空調)
- 米州では、メキシコのチラー工場の活用と既存工場の能力拡充で、アプライド空調の需要を取り込み、とくに市場成長が続くデータセンター向けが伸びたとしています
③ 日本の高付加価値商品
- 国内では、猛暑や東京ゼロエミポイント事業の影響もあり、業務用・住宅用ともに売上が前期を上回りました
4. 弱み・リスク
① 米国の住宅用
- 米国の住宅用空調は、「米国関税に起因するインフレや住宅ローン金利の高止まり」、更新需要の低迷、前年の冷媒規制に伴う駆け込み需要の反動による流通在庫の高止まりで、需要の停滞が継続しました
② 中国の不動産不況
- 中国では「不動産不況の影響により需要が大きく減速」し、地域全体の売上高は前期を下回りました
③ 化学事業と半導体
- 化学事業の営業利益は、「半導体需要減速の影響を大きく受け」、前期比28.3%減でした
④ 天候と関税
- アセアン・インドでは天候不順などで減収。会社は米国関税措置への対応を含むサプライチェーンの強化を課題に挙げています
5. ライバルとの比較
米国の空調大手、キャリア・グローバル(Carrier)と比べます。決算期(キャリアは12月期)・会計基準(米国基準)・通貨が違うので、おおまかな比較です。
| ダイキン(2026年3月期) | キャリア(2025年12月期) | |
|---|---|---|
| 売上高 | 5兆150億円(+5.5%) | 217億5,000万ドル(−3%) |
| 営業利益率 | 8.3% | 10.0%(調整後15.1%) |
| 米州の住宅用 | 需要の停滞が継続 | 住宅用の数量が大きく減少 |
- キャリアも、2025年10〜12月期に、米州の住宅用の弱さと販売店の在庫削減を挙げています。米国の住宅用空調は、両社に共通の課題でした
- キャリアはグローバルの業務用空調とアフターマーケットが2桁の伸びとしており、業務用が伸びている点もダイキンと似ています
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
ダイキンの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 空調・冷凍機の営業利益 | 3,770億円(+7.4%) | 決算短信(セグメント情報) |
| 地域別の売上高(とくに米国・中国) | 米国35.6%、中国9.4% | 決算短信(セグメント情報) |
| 化学事業の営業利益 | 331億円(−28.3%) | 決算短信 |
| 営業利益率 | 8.3% | 決算短信のサマリー |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上高5兆1,500億円、営業利益4,360億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年340円、2027年3月期予想360円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ。同じ機械・電機の会社は日立製作所の強みとは、ファナックの強みとは

メル美エアコンの会社だけど、いちばんのお客さんは米国。米国の住宅と金利のニュースも関係あるんだね
空調も手がける総合電機はパナソニック ホールディングスの強みとはへ。
空調・ビル・FAを持つ総合電機は三菱電機の強みとはへ。
空調の設備工事の会社は大気社の強みとはも参考にしてください。
まとめ
- ダイキンは、営業利益の約91%が空調・冷凍機の会社
- 2026年3月期は売上高5兆150億円、営業利益4,150億円(+3.3%)
- 売上の約84%が海外、最大は米国35.6%
- 伸びたのはデータセンター向けなどのアプライド空調と日本
- 課題は米国の住宅用(関税・金利)、中国の不動産不況、化学の半導体需要減速
参考文献
- ダイキン工業. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月12日). https://www.daikin.co.jp/-/media/17C49E6E7DF240B39A3684C11337DF32.ashx (閲覧日:2026年10月10日)
- Carrier Global Corporation. Carrier Reports 2025 Results and Announces 2026 Outlook(2026年2月5日). https://ir.carrier.com/news/news-details/2026/Carrier-Reports-2025-Results-and-Announces-2026-Outlook/default.aspx (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。