ニチレイの強みとは:冷凍食品などの食品と、冷蔵倉庫・輸配送の低温物流がほぼ半分ずつ利益を稼ぐ会社。2026年3月期は営業利益390億円(+1.8%)、低温物流が+18.0%。決算期を12月に変更する予定
ニチレイを、2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月12日、東証の適時開示)で分析しました。売上高7,161億円(+2.0%)、営業利益390億円(+1.8%、営業利益率5.4%)、経常利益401億円(+0.7%)、親会社株主に帰属する当期純利益273億円(+10.5%)、ROE10.0%、自己資本比率51.4%。当期から報告セグメントを食品・低温物流・不動産の3区分に変更。営業利益は、食品199億円(−6.6%、原材料・仕入コストの上昇とタイの輸出事業のドル安バーツ高)、低温物流186億円(+18.0%、国内の保管・輸配送の収益向上)、不動産19億円。加工食品は売上高3,342億円(+7.3%)で、水産・畜産は低収益商材を削減。年47円の配当(2025年4月に1株→2株の分割)。決算期を3月から12月に変更する予定で、2026年12月期(9か月間)は営業利益338億円・年50円の予想。日本ハム・味の素との比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

メル美ニチレイって、冷凍食品の会社だよね

プレ男決算短信を見ると、冷凍の食品と同じくらい、冷蔵倉庫や配送の「低温物流」でも稼いでいるんだって
企業分析の連載、170社目はニチレイです。2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月12日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。比較には、この連載の日本ハムの強みとは・味の素の強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、ニチレイ株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。特定の商品をすすめるものでもありません。
1. ひとことで言うと
加工食品・水産・畜産の「食品」と、冷蔵倉庫での保管・輸配送・3PLなどの「低温物流」を国内外で手がける会社
| 項目(日本基準・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 7,161億円 | +2.0% |
| 営業利益 | 390億円 | +1.8% |
| 営業利益率 | 5.4% | 前期 5.5% |
| 経常利益 | 401億円 | +0.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 273億円 | +10.5% |
| ROE(自己資本当期純利益率) | 10.0% | 前期 9.6% |
| 自己資本比率 | 51.4% | 前期 52.1% |
| 配当 | 年47円(配当性向43.1%) | 前期 92円(分割前、特別配当10円を含む) |
- 当期純利益が増えたのは、投資有価証券売却益などの特別利益(総額53億円)があったことなどによるものです
- 2025年4月1日に1株→2株の株式分割をしています(→株式分割と投資単位)
2. 何で稼いでいるか
当期から、報告セグメントを「食品」「低温物流」「不動産」の3つに変更しています(前期も組み替えて比較)。
| セグメント | 主な動き(決算短信の記載) | 売上高 | 営業利益 |
|---|---|---|---|
| 食品 | 加工食品3,342億円(+7.3%)、水産501億円(−14.5%)、畜産509億円(−24.5%) | 4,267億円(−1.7%) | 199億円(−6.6%) |
| 低温物流 | 国内(保管・輸配送・リテール・3PL)1,990億円、海外926億円 | 3,010億円(+8.2%) | 186億円(+18.0%) |
| 不動産 | 50億円 | 19億円 | |
| その他 | 53億円 | 5億円 |
- セグメントの営業利益の合計408億円のうち、食品が約49%、低温物流が約46%です(計算値)
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 低温物流
- 国内では、輸入貨物の荷動きは低調だったものの、冷凍食品などの需要は堅調で、保管・輸配送の収益が上がり、国内の営業利益は+24.7%でした。会社は、労働力人口の減少や法規制の厳格化による「運べなくなるリスク」の高まりで、持続可能な物流へのニーズが高まっているとしています
② 冷凍食品の需要
- 会社は、調理時間・工程を減らすニーズを背景に、冷凍食品市場の需要は堅調だったとしています。国内の加工食品は、価格改定の浸透や大手ユーザー向けのチキン加工品の伸びで増収でした
③ 構造改革
- 水産・畜産では低収益商材の削減を進めました。水産は主力のエビ商品が好調で、前期並みの利益を確保しました
4. 弱み・リスク
① 原材料・仕入コスト
- 国内の加工食品は、原材料・仕入コストの急激な上昇や販促費用の増加で減益でした
② 為替
- 海外の加工食品は、タイの輸出事業でドル安バーツ高の影響を受け、営業利益が17.9%減りました
③ 決算期の変更
- 会社は、決算期を3月31日から12月31日に変更する予定で、2026年12月期は9か月間(3月決算の会社)の決算になります。前期との比較がしにくくなります
5. ライバルとの比較
食品の会社と並べます。会計基準(日本ハム・味の素はIFRS)と利益の指標が違うので、おおまかな比較です。3社とも2026年3月期です。
| ニチレイ | 日本ハム | 味の素 | |
|---|---|---|---|
| 売上(売上収益) | 7,161億円(+2.0%) | 1兆4,574億円(+6.3%) | 1兆5,837億円(+3.5%) |
| 利益(営業/事業) | 390億円(営業) | 683億円(事業) | 1,811億円(事業) |
| 利益率 | 5.4% | 4.7% | 11.4% |
| ROE | 10.0% | 6.6% | 17.7% |
- ニチレイは、食品のほかに低温物流という物流の柱をもつのが特徴です(→日本ハムの強みとは、味の素の強みとは)。物流の会社はNIPPON EXPRESSホールディングスの強みとはも
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
ニチレイの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 低温物流の営業利益(国内・海外) | 186億円(国内180億円・海外30億円) | 決算短信(セグメント別の概況) |
| 加工食品の営業利益(国内・海外) | 179億円(国内124億円・海外54億円) | 決算短信(セグメント別の概況) |
| 会社の業績予想 | 2026年12月期(9か月) 売上高6,094億円、営業利益338億円、当期純利益252億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年47円、2026年12月期予想50円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

メル美冷凍食品だけじゃなくて、冷たいものを運ぶ物流でも稼いでいるのね。決算期が変わるから、比べ方に気をつけたいな
水産と食品の会社はニッスイの強みとはも参考にしてください。
まとめ
- ニチレイは、食品と低温物流がほぼ半分ずつ利益を稼ぐ会社
- 2026年3月期は営業利益390億円(+1.8%)
- 低温物流は保管・輸配送の収益向上で+18.0%
- 食品は原材料コストとタイの為替で−6.6%
- 決算期を12月に変更する予定、2026年12月期(9か月)は営業利益338億円の予想
参考文献
- ニチレイ. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月12日). https://www2.jpx.co.jp/disc/28710/140120260512524701.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 日本ハム. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月8日). https://www2.jpx.co.jp/disc/22820/140120260508519362.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 味の素. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月7日). https://news.ajinomoto.co.jp/2026/05/2026_05_07_03.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。