
プレ男病院でもらった薬の説明に「服用中と服用後○か月はコンドームで避妊してください」って書いてあったんだ。男なのに避妊って、どういうこと?

メル美薬によっては、男性も気をつけなきゃいけないことがあるんだね。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、飲んでいる薬の説明書に「避妊」と書いてあったらの話です。厚生労働省の「医薬品の投与に関連する避妊の必要性等に関するガイダンス」(2023年2月16日)にかかわる事務連絡と、日本産婦人科医会の「産婦人科ゼミナール」の解説をもとにまとめました。
国のガイダンス(2023年)
厚生労働省は2023年2月16日、「医薬品の投与に関連する避妊の必要性等に関するガイダンス」を出しました。日本産婦人科医会の解説によると、このガイダンスでは、薬が胎児に与える影響(発生毒性)だけでなく、遺伝子に与える影響(遺伝毒性)も考えて、避妊の期間を決めるとされています。
説明書には、こう書かれる
厚生労働省の事務連絡によると、避妊が必要と判断された薬では、説明書(添付文書)の「生殖能を有する者」の欄に、基本として次のように書くことになっています。
- 男性には、薬を使っている間と、最後に使ってから○か月間、バリア法(コンドーム)で避妊する必要性について説明すること
- 妊娠する可能性のある女性には、薬を使っている間と、最後に使ってから○か月間、避妊する必要性と適切な避妊法について説明すること
- 「○か月間」は、薬ごとに具体的な期間が決められます

プレ男薬をやめてからも、しばらく避妊が必要なんだ。期間は薬によってちがうんだね。
なぜ男性も?
厚生労働省の事務連絡で引用されているガイダンスの記載によると、
- 男性の場合、精液に移った薬が、腟の粘膜などから吸収されて、胚・胎児に影響することが考えられる場合は、精液に移る薬の量が十分に下がり、女性パートナー側に安全な余裕が確保できるまで、性行為でバリア法(コンドーム)を使うことが必要とされています
日本産婦人科医会の解説によると、思春期以降の男性は、精子をつくるために細胞分裂を数多くくり返しているので、遺伝毒性の影響を受けやすいとされています。
(更新)厚生労働省の通知「医薬品の投与に関連する避妊の必要性等に関するガイダンスについて」(2023年2月16日)の本文で確認しました。遺伝毒性のある薬を使っている男性は、最後に飲んだ(使った)日から、薬が血液から消える期間(半減期の5倍)に、さらに3か月を加えた期間の避妊がすすめられています。この3か月には、精子がつくられる期間と、射精されずに残っている期間がふくまれます。また、精液に移った薬が女性パートナーの腟の粘膜にふれないよう、女性パートナーが避妊していてもコンドームなどのバリア法が必要とされています。女性の場合は、半減期の5倍に6か月を加えた期間がすすめられています(薬の種類によって1か月)
例:乳がんのホルモン療法の薬
- 日本産婦人科医会の解説によると、乳がんのホルモン療法に使われるタモキシフェンは、ガイダンスにしたがって2023年5月に説明書が改訂され、最後に飲んでから必要な避妊期間が6か月延びて9か月になりました
がん治療と妊娠については、がん治療の前に知っておきたい「妊孕性温存」も見てください。

説明書に避妊のことが書いてあっても、自己判断で薬をやめないでください。病気によっては、薬を続けることがとても大切です。妊娠を考えはじめたら、まず主治医に相談しましょう。
大切なこと
- 自己判断で薬をやめない。厚生労働省の事務連絡でも、てんかんや臓器移植後など、病気の性質から薬を続けることが欠かせない薬については、別に検討するとされています
- 説明書に避妊のことが書いてある薬を使っているときは、どのくらいの期間、どんな方法で避妊すればよいかを、医師や薬剤師に確認しましょう
- 妊娠を考えはじめたら、男性も女性も、飲んでいる薬を主治医に伝えて相談しましょう(プレコンセプションケア、妊娠中の薬)
- 避妊の方法は、低用量ピルやコンドームで性感染症はどれくらい防げる?なども見てください
まとめ
- 薬によっては、飲んでいる間と、最後に飲んでから数か月、避妊が必要
- 男性もコンドームが必要な薬がある(精液に移った薬の影響を防ぐため)
- 期間は薬ごとに説明書に書かれる。医師・薬剤師に確認を
- 自己判断で薬をやめない。妊娠を考えたら主治医に相談
参考文献
- 厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課. 医薬品の投与に関連する避妊の必要性等に関するガイダンスに係る「医療用医薬品の添付文書等の記載要領に関する質疑応答集(Q&A)」の一部改正等について(令和5年2月16日事務連絡). https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc7340&dataType=1&pageNo=1 (閲覧日:2026年10月10日)
- 髙井泰. 第三回:乳がん患者の妊娠・出産のためのタモキシフェン内服に関するステートメント. 日本産婦人科医会 産婦人科ゼミナール(医会報学術欄デジタル版). https://www.jaog.or.jp/lecture/%e7%ac%ac%e4%b8%89%e5%9b%9e%ef%bc%9a%e4%b9%b3%e3%81%8c%e3%82%93%e6%82%a3%e8%80%85%e3%81%ae%e5%a6%8a%e5%a8%a0%e3%83%bb%e5%87%ba%e7%94%a3%e3%81%ae%e3%81%9f%e3%82%81%e3%81%ae%e3%82%bf%e3%83%a2%e3%82%ad/ (閲覧日:2026年10月10日)
- 厚生労働省医薬・生活衛生局. 医薬品の投与に関連する避妊の必要性等に関するガイダンスについて(令和5年2月16日 薬生安発0216第1号・薬生薬審発0216第1号). https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc7339&dataType=1&pageNo=1 (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。