口の中のただれ・白い斑点、なかなか治らないのど:性感染症のことも。梅毒は唇・舌・扁桃に痛みの少ないしこりやただれ、白っぽい「粘膜斑」。急性HIVでも口の中に痛いただれ。3週間以上治らない口内炎は受診を
口内炎やのどの痛みの多くは性感染症とは関係ありませんが、なかには性感染症のサインのこともあります。国立健康危機管理研究機構のIASRの報告によると、梅毒の第1期の病変は性器に次いで口やのど、なかでも唇・舌・扁桃にでき、痛みが少ないため見のがされやすく、第2期には白っぽい「粘膜斑」が出ます。ある医療機関の口腔・咽頭梅毒34例のうち30例は、のどの痛みなどで内科や耳鼻咽喉科を受診していました。急性HIV感染症でも口の中に痛いただれが出ることがあります。英国NHSは、3週間以上治らない口内炎は受診をすすめています。

プレ男口内炎が何週間も治らないし、のどに白いものがあるんだ。オーラルセックスの心当たりもあって……。

メル美口やのどにも、性感染症の症状が出ることがあるの?
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、口の中のただれ・白い斑点や、なかなか治らないのどと性感染症の話です。国立健康危機管理研究機構のIASR「口腔・咽頭梅毒の臨床像と診断のピットフォール」(2023年12月)、エイズ治療・研究開発センター(ACC)の手引き、英国NHSの「Mouth ulcers」をもとにまとめました。口内炎の多くは、性感染症とは関係ありません。でも、心当たりがあって長引くときは、知っておいてほしいことがあります。
ふつうの口内炎は、1〜2週間で治る
NHSによると、
- 口内炎はよくあるもので、ふつうは1〜2週間で自然に治ります。重い病気のサインであることはまれです(口内炎の多くは1〜2週間で自然に治る)
- 3週間以上治らない、いつもとちがう(大きい、のどの奥にある)、出血する・痛みや赤みが強くなるときは、歯科か医療機関へ
梅毒:口やのどにも出る
IASRの報告(東京女子医科大学附属足立医療センター耳鼻咽喉科)によると、
第1期
- 梅毒の第1期では、菌が入ったところに、あずきから指先くらいの大きさの、かたいしこりができ、数日後に真ん中からただれ(潰瘍)になります
- できやすいのは性器ですが、次に多いのが口やのど、とくに唇・舌・扁桃(へんとう)です
- しこりもただれも、痛みがないか、違和感だけのことが多いので、見のがされたり、ほかの病気とまちがわれたりしやすいとされています
第2期
- 口やのどでいちばん多いのは「粘膜斑(ねんまくはん)」です。少しもり上がった、青みがかった白や灰色の斑点で、まわりがうすく赤くなっています
- 扁桃からのどの奥の両側に広がると、のどちんこを中心に、蝶が羽を広げたような形になることがあり、梅毒に特有の所見とされています

メル美のどの梅毒は、扁桃炎みたいに見えることもあるんだ……。
見のがされやすい
- この医療機関で診た口やのどの梅毒34例のうち、28例は初診のときに粘膜斑や白い病変があり、30例はのどの痛み、口の中の痛み、のどの違和感で、内科や耳鼻咽喉科を受診していました
- 第1期・第2期の病変は、治療しなくても数週間〜数か月で消えるので、治ってきたように見えることがあります
- 診断の前に抗菌薬を飲むと、特徴的な見た目が消えて、診断がむずかしくなることがあります
- 治療していないただれや粘膜斑の表面には菌がたくさんいて、ふれた相手にうつりやすいとされています。キスやオーラルセックスでもうつることがあります(キスで性病はうつる?)

口やのどの梅毒は、痛みが少なく、扁桃炎や口内炎とまちがわれやすい病気です。心当たりがあるなら、受診のときに伝えてください。血液検査でわかります。
急性HIV感染症:口の中に痛いただれ
ACCの手引きによると、
- HIVに感染してまもない急性HIV感染症では、口の中に、境目のはっきりした痛いただれ(潰瘍)や白い苔(白苔)がみられることがあり、急性HIV感染症を考える手がかりになるとされています
- 発熱、のどの痛み、リンパ節の腫れ、発疹などをともなうことがあります(こんなときはHIV検査を)
ほかに考えられるもの
-
口唇ヘルペス:唇のまわりの小さな水ぶくれ。キスやオーラルセックスで性器にうつることもあります(性器ヘルペス)
-
のどの淋菌・クラミジア:症状がないことが多いですが、のどの痛みが出ることもあります(咽頭炎・扁桃炎と性感染症)
-
口やのどのカンジダ:ACCの手引きによると、HIVで免疫が下がった人(CD4が200未満など)によくみられ、痛みのない、こすると取れる白いこけ(白苔)や、白いこけのない赤い斑点・舌全体の赤みとして出ます。軽ければ症状がないことも多く、飲みこむときの違和感や痛みがあるときは、食道のカンジダのこともあります。口やのどのカンジダは免疫が下がっているサインです(こんなときはHIV検査を)
受診のときに伝えること
- いつからあるか、痛みはあるか
- オーラルセックスやキスなど、心当たりがあるか
- 体の発疹、リンパ節の腫れ、熱などほかの症状
- 飲んだ薬(とくに抗菌薬)
HIVと口・食道のカンジダ症については、HIVと口・食道のカンジダ症にまとめています。
まとめ
- ふつうの口内炎は1〜2週間で治る。3週間以上治らないときは受診
- 梅毒は唇・舌・扁桃にも。痛みの少ないしこりやただれ、白っぽい粘膜斑
- 口やのどの梅毒は扁桃炎や口内炎とまちがわれやすい
- 急性HIV感染症でも、口の中に痛いただれが出ることがある
- 心当たりがあれば、受診のときに伝えて、血液検査を
参考文献
- 余田敬子. 口腔・咽頭梅毒の臨床像と診断のピットフォール. IASR 44: 192-193, 2023(2023年12月25日公開). https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/iasr/pathogens/vol44/526/526r03.html (閲覧日:2026年10月10日)
- 国立健康危機管理研究機構 エイズ治療・研究開発センター(ACC). 抗HIV治療ガイドライン・治療の手引き:急性HIV感染症(Last updated: 2022-09-29). https://www.acc.jihs.go.jp/medics/treatment/handbook/part2/no19.html (閲覧日:2026年10月10日)
- NHS. Mouth ulcers(Page last reviewed: 11 March 2024). https://www.nhs.uk/conditions/mouth-ulcers/ (閲覧日:2026年10月10日)
- 国立健康危機管理研究機構 エイズ治療・研究開発センター(ACC). 抗HIV治療ガイドライン・治療の手引き:口腔食道カンジダ症(Last updated: 2022-09-29). https://www.acc.jihs.go.jp/medics/treatment/handbook/part2/no26.html (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
