
メル美妊婦健診で「少し貧血ぎみ」って言われたの。レバーを食べたほうがいいって聞いたけど、妊娠中はビタミンAのとりすぎに注意って本にも書いてあって……どっちなの?

プレ男妊娠すると、貧血になりやすいのかな。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、妊娠中の貧血の話です。WHO(世界保健機関)の貧血のファクトシートと、日本産婦人科医会の「女性の健康Q&A」をもとにまとめました。妊娠していないときの貧血については健診で「貧血」と言われたらを見てください。
妊娠中は貧血になりやすい
WHOによると、
- 貧血は、妊娠中や産後の女性、生理のある女性などに多い健康の問題です
- 2019年、世界では妊婦の37%(3,200万人)が貧血でした(妊娠していない15〜49歳の女性は30%)
- 妊娠中に血液の量がふえること、出産のときやその後の出血などが、貧血の原因になります
- 貧血は、妊婦さんと赤ちゃんの両方に問題を起こすことがあります
日本産婦人科医会によると、妊婦の貧血の大部分は、鉄分が不足するための貧血です。
症状
WHOによると、貧血のよくある症状は、
- 疲れやすい
- めまい、ふらふらする
- 手足が冷たい
- 頭痛
- 息切れ(とくに体を動かしたとき)
重い貧血では、口の中や爪の下が白っぽい、呼吸や脈が速い、立ちくらみ、あざができやすい、などの症状が出ることもあります。

妊娠中の疲れやすさやめまいは、貧血のサインのこともあります。妊婦健診の血液検査で貧血がわかったら、食事や鉄剤について医師に相談しましょう。
(更新)日本産婦人科医会の医会報学術欄「第四回:妊産婦の鉄欠乏性貧血 ―産科編―」(2025年7月29日作成、医師向け)で確認しました。妊娠中は血液が薄まる(生理的な血液希釈)ため、WHOの基準では、妊婦の貧血はヘモグロビンが妊娠初期11g/dL未満、中期10.5g/dL未満、末期11g/dL未満、産後10g/dL未満とされています(妊娠していない女性は12g/dL未満)。日本でも妊婦の約4割が貧血の状態にあり、妊産婦の貧血の90%以上が鉄欠乏性貧血とされています。妊娠全体で約1,000mgの鉄が余分に必要になる一方、食事から吸収される鉄は1日1〜2mgなので、積極的に鉄をとることが必要です。産後の貧血は、産後うつ、育児意欲の低下、母乳育児がうまくいかないことなどとも関係するとされています。治療は、安全性と費用の面から飲み薬の鉄剤が第一選択で、急いで改善が必要なときは点滴の鉄剤も使われます
妊婦健診で調べる
妊婦健診では、血液検査(血算)で貧血を確かめます。厚生労働省の「妊婦に対する健康診査についての望ましい基準」では、妊娠初期に1回、24〜35週に1回、36週〜出産に1回行われます(妊婦健診で何をする?)。
食事:レバーは「少しずつ」
日本産婦人科医会のQ&A(小冊子『これで安心、妊娠中の食事と栄養』2021年改訂版より)によると、
- レバーには鉄が多く、しかもほうれん草などの植物性の食品より鉄の吸収がよいことがわかっているので、貧血予防にレバーを食べるのは望ましいことです
- ただし、レバーにはビタミンAも多くふくまれるので、とりすぎはよくありません
- 少しずつなら心配ありません。目安は、
- 牛レバーなら1日30g程度
- 鶏や豚のレバーなら週に1〜2回、30g程度
とされています。

プレ男「レバーはだめ」じゃなくて、「量に気をつけて少しずつ」なんだね。
WHOも、貧血の予防に、鉄、葉酸、ビタミンB12などをふくむ食品をとることをあげています。妊娠中の食べものの注意は妊娠中に気をつけたい食べもの、サプリメントについては妊娠中のサプリメントを見てください。
貧血とお産のあとの大量出血の関係については、お産のあとの大量出血(分娩後出血)を見てください。
まとめ
- 妊娠中は血液の量がふえるため、貧血になりやすい(世界では妊婦の37%)
- 妊婦の貧血の大部分は鉄不足
- 疲れやすい、めまい、息切れなどに注意
- 妊婦健診の血液検査で確かめる
- レバーは鉄が多いが、ビタミンAのとりすぎに注意。牛レバーなら1日30g程度、鶏・豚なら週1〜2回30g程度
参考文献
- World Health Organization. Anaemia(Fact sheet). https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/anaemia (閲覧日:2026年10月10日)
- 公益社団法人日本産婦人科医会. 女性の健康Q&A「『貧血予防にはレバーたくさん食べろ』と本に書いてあります。でも、レバーなどのビタミンAのとりすぎは胎児に悪影響があるそうですね。どっちが正しいのですか?」(2021年9月29日作成). https://www.jaog.or.jp/qa/confinement/210929/ (閲覧日:2026年10月10日)
- 厚生労働省. 妊婦に対する健康診査についての望ましい基準(平成27年3月31日厚生労働省告示第226号)(こども家庭庁掲載資料、PDF). https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/ae69f83a-d0b5-4d1a-a51f-54b6eabd44a7/aa6c59aa/20251028_policies_boshihoken_nimpukenshin_01.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
- 公益社団法人日本産婦人科医会. 医会報学術欄(デジタル版)第四回:妊産婦の鉄欠乏性貧血 ―産科編―(2025年7月29日作成). https://www.jaog.or.jp/lecture/%e7%ac%ac%e5%9b%9b%e5%9b%9e%ef%bc%9a%e5%a6%8a%e7%94%a3%e5%a9%a6%e3%81%ae%e9%89%84%e6%ac%a0%e4%b9%8f%e6%80%a7%e8%b2%a7%e8%a1%80-%ef%bc%8d%e7%94%a3%e7%a7%91%e7%b7%a8%ef%bc%8d%e7%9f%a5%e8%ad%98%e3%81%ae/ (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。