
プレ男ひさしぶりに腕立て伏せをやったら、5回でつぶれた…。しかも次の日、腰が痛い。

メル美いきなりふつうの腕立て伏せじゃなくて、もっとかんたんな形から始めればいいんじゃない?
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、道具もジムもいらない筋トレの代表、腕立て伏せの話です。スポーツ庁の手引きと厚生労働省のガイド、そして腕立て伏せの回数と心臓の病気の関係を調べた研究をもとにまとめました。
腕立て伏せも、立派な「筋トレ」
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」の情報シートでは、こう書かれています。
- 筋トレには、マシンなどを使うウエイトトレーニングだけでなく、自分の体重を負荷にする腕立て伏せなどの自重トレーニングもふくまれる
- 成人には、筋トレを週2〜3日行うことを推奨
- 負荷は、日常生活より少し上の負荷をくり返し、慣れてきたら少しずつ上げていく
- 自宅で行うなら、無理せず「できなくなるところまで行う」がいちばんかんたんな目安
- 血圧の急な上昇をおさえるため、息をこらえない
- 健康づくりが目的なら、やりすぎに注意
筋トレ全体の始め方は、筋トレの始め方にまとめています。
「壁→ひざつき→ふつう」の順に
スポーツ庁の「身体診断『セルフチェック』『改善エクササイズ』の手引き」では、上半身の筋力のセルフチェックを、次のように段階に分けています(できたら1点の、4段階)。
| 段階 | かたち | チェックすること |
|---|---|---|
| レベル1 | 壁に手をつく(壁から足4つ分はなれて立つ) | 目線を下に向けて、10秒間たもてるか |
| レベル2 | ひざをついた腕立ての姿勢 | 首・背中・ひざまでまっすぐにして、10秒間たもてるか |
| レベル3 | ふつうの腕立ての姿勢(手も足も肩幅) | 首・背中・足までまっすぐにして、10秒間たもてるか |
| レベル4 | 腕立ての姿勢から、片手を上げて体をひねる | 左右それぞれ3秒間たもてるか |

プレ男壁に手をつくのも、腕立て伏せの仲間なんだ。まずは自分がどの段階か、見てみよう。
フォームのポイント
同じ手引きの「POINT」をまとめると、こうなります。
- 両手は肩幅に開く
- 頭から足まで一直線になるように意識する。頭を上げない
- お尻が上がって「くの字」にならない
- 背中・腰が反らないように注意する
- ひざつきのときは、背中を丸めない
- 鏡やスマートフォンで、自分の姿勢を確かめる
手引きの「改善エクササイズ」では、壁に手をついて行う腕立て伏せ(ウォールプッシュ)を紹介しています。そのときの注意は、次の3つです。
- エクササイズ中に呼吸を止めない
- 痛みが出ない範囲で、ゆっくり行う
- 頻度は2日に1回ほどのペース
- 手首がかたい人は、壁から足2つ分の近い位置で行うと、手首の負担が少なくなります(手引きより)
- 肩・ひじ・手首にもともと痛みがある人は、無理をせず、整形外科などで相談してから始めましょう
腕立て伏せの回数と、心臓の病気
腕立て伏せの回数と、その後の心血管の病気(心臓や血管の病気)の関係を調べた研究があります(Yang ら、JAMA Network Open、2019年)。
- 対象は、米国インディアナ州の男性の消防士1,104人(はじめの平均年齢 39.6歳)
- メトロノーム(1分間に80拍)に合わせて腕立て伏せをしてもらい、回数で5つのグループ(0〜10回、11〜20回、21〜30回、31〜40回、40回より多い)に分けて、10年間追いかけました
- 10年間で、37件の心血管の病気が起こりました
- 40回より多くできた人は、10回以下の人にくらべて、心血管の病気の発生が96%少なかった(発生率比 0.04)

メル美96%も!? じゃあ腕立て伏せを40回できるようになれば、心臓病にならないってこと?
そうとは言えません。論文の著者自身が、次のような限界を書いています。
- この研究は「関連」を見たもので、腕立て伏せの回数が心血管の病気の独立した予測因子であることを示したものではない
- 対象は体を使う仕事をしている中年の男性だけ。女性、高齢の人、ふだん運動しない人、ほかの職業の人にあてはまるかはわからない
- 病気の件数は37件と多くはなく、偶然の可能性も残る
つまり、「腕立て伏せがたくさんできる人は、体力全体が高い人が多く、その人たちは心臓の病気が少なかった」と読むのが正確です。回数は、自分の体力の変化を知る目安の1つとして使うのがよいでしょう。

腕立て伏せは、頭から足まで一直線、息を止めない、痛くない範囲で。ふつうの形がきつい人は、壁やひざつきから始めれば十分です。回数は、体力の変化を知るものさしとして使いましょう。
続けるコツ
- 最初は、正しいフォームをたもてる段階(壁やひざつき)から。慣れて余裕が出てきたら、次の段階へ(「少しずつ負荷を上げる」は厚生労働省のガイドの考え方)
- 週2〜3日、休みの日をはさんで行う(厚生労働省のガイド)
- 下半身はスクワットで。ひざが心配な人は椅子スクワットから
- 運動が苦手でも、筋肉は今からでもつきます(スポーツをやってこなかった男は弱いのか?)
- 筋トレの時間の目安は、筋トレは「週30〜60分」がちょうどいい?へ

プレ男まずはひざつきから、まっすぐな姿勢でやってみる!腰を反らせないようにね。

メル美私は壁からやってみよう。スマホで横から撮って、フォームを確かめるね。
同じ手引きの腹筋(体幹)のチェックは、腹筋(体幹)は何段階?スポーツ庁のセルフチェックへ。
腕立て伏せとベンチプレスで筋肉のつき方をくらべた試験は、腕立て伏せでも、ベンチプレスと同じくらい胸と腕の筋肉がつく?へ。
まとめ
- 腕立て伏せは、厚生労働省のガイドでも筋トレの1つ。週2〜3日が目安
- 壁→ひざつき→ふつうの順に。頭から足まで一直線、くの字にしない、腰を反らさない
- 息を止めない、痛みが出ない範囲で
- 腕立て伏せが40回より多くできた男性は、心血管の病気が96%少なかったという研究も。ただし関連を見たもので、対象は中年の男性消防士だけ
参考文献
- 厚生労働省. 「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」情報シート:筋力トレーニングについて(e-ヘルスネット). https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/exercise/s-00-005.html (閲覧日:2026年10月4日)
- スポーツ庁. 身体診断「セルフチェック」「改善エクササイズ」の手引き
スポーツを通じたライフパフォーマンス向上を目指す皆様へ(⑤上体の筋力). https://www.mext.go.jp/sports/content/20250624-spt_kensport01-000014433_1.pdf (閲覧日:2026年10月4日) - Yang J, Christophi CA, Farioli A, et al. Association Between Push-up Exercise Capacity and Future Cardiovascular Events Among Active Adult Men. JAMA Netw Open. 2019;2(2):e188341. doi:10.1001/jamanetworkopen.2018.8341. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6484614/ (閲覧日:2026年10月4日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。