KDDIの強みとは:au・UQ mobile・povoの通信に、金融・データセンターなどの「グロース領域」を重ねる。2026年3月期は売上高6兆719億円・営業利益1兆991億円。営業利益の約76%は個人向け。子会社の架空循環取引で有価証券報告書を訂正
KDDIを、2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月12日)で分析しました。売上高6兆719億円(+4.1%)、営業利益1兆991億円(+1.1%、営業利益率18.1%)、親会社の所有者に帰属する当期利益7,071億円(+7.9%)。セグメントはパーソナル(au・UQ mobile・povoの通信、金融など。売上高4兆8,127億円、営業利益8,283億円、−2.1%)とビジネス(IoT・データセンターなどのグロース領域が伸び、営業利益2,639億円、+12.2%)。2027年3月期は売上高6兆4,100億円、調整後営業利益1兆2,100億円の予想。子会社ビッグローブ・ジー・プランの広告代理事業で架空循環取引が認められ、2026年3月31日に有価証券報告書の訂正報告書を出しています。ソフトバンクとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

メル美KDDIって、auの会社だよね。スマホ代だけで、そんなに稼げるの?

プレ男最近は銀行とか電気とか、いろいろやってるイメージ
企業分析の連載、12社目はKDDIです。2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月12日)で確認しました。比較にはソフトバンク株式会社の2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月11日)を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、KDDI株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
「au」「UQ mobile」「povo」の通信を土台に、金融・エネルギー・データセンターなどのサービスを重ねていく会社
| 項目(IFRS・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 6兆719億円 | +4.1% |
| 営業利益 | 1兆991億円 | +1.1% |
| 営業利益率 | 18.1% | 前期 18.6% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 7,071億円 | +7.9% |
| 親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE) | 14.0% | 前期 12.8% |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 26.6% | 前期 30.1% |
| 有利子負債残高 | 5兆3,754億円 | 前期 4兆4,376億円 |
- 2025年4月1日に、1株を2株に分割しています(→株式分割とは)
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 中身(決算短信の記載から) | 売上高 | 営業利益 | 前期比(営業利益) |
|---|---|---|---|---|
| パーソナル | 個人向け。au・UQ mobile・povoのモバイル通信、金融事業など | 4兆8,127億円 | 8,283億円 | −2.1% |
| ビジネス | 法人向け。IoT関連サービス・データセンターなどの「グロース領域」など | 1兆5,279億円 | 2,639億円 | +12.2% |
- 営業利益の約76%がパーソナル(個人向け)です
- 会社は、売上高の増加について「通信を基盤としたモバイル収入に加え、金融事業収入やIoT関連サービス・データセンター等で構成されるグロース領域の成長」によるとしています
- パーソナルの減益は、「過去に資産計上した短期解約者に係る契約コストの減損等」によるとしています
- 海外では、モンゴルで通信・金融・エンタメのサービスを提供しています
3. 強み
会社の資料で確かめられる事実から、強みと考えられる点を挙げます。
① 3つのブランドの通信
- 「au」「UQ mobile」「povo」のマルチブランドで5G通信サービスを提供しています。料金や使い方の違う3つのブランドで、幅広い利用者をカバーします
② 通信に重ねる金融
- 決算短信では、金融事業の貸出金(非流動資産に計上された分で、前期4兆7,348億円→5兆5,340億円)や預金が増えています。グループにauフィナンシャルホールディングスなどがあります
③ 法人向けのグロース領域
- ビジネスセグメントは、IoT・データセンターなどで増収増益(売上高+8.7%、営業利益+12.2%)
- 中期経営戦略では「Infrastructure Fusion(通信基盤とAI基盤の融合)」などを掲げています
4. 弱み・リスク
① 子会社の架空循環取引
- 決算短信の「事業等のリスク」によると、連結子会社のビッグローブと、その子会社のジー・プランの広告代理事業で、外部の弁護士・公認会計士による特別調査委員会の調査の結果、「実体が存在しない架空循環取引が行われていた」ことが認められました
- KDDIは、2026年3月31日に前の事業年度の有価証券報告書の訂正報告書を出しています。会社は、グループ全体のガバナンス体制の強化と再発防止策に取り組むとしています
② 個人向けの比重が大きい
- 営業利益の約4分の3がパーソナルです。2026年3月期はパーソナルが2.1%の減益でした
③ 借入れの増加
- 有利子負債残高は5兆3,754億円(前期比+9,378億円)、親会社所有者帰属持分比率は30.1%→26.6%に下がりました。会社は、負債の増加の理由として金融事業の預金・借入金・社債の増加を挙げています
5. ライバルとの比較
同じ通信大手のソフトバンク株式会社(携帯の「ソフトバンク」などの会社。ソフトバンクグループの子会社)と比べます。どちらもIFRS・2026年3月期です。
| KDDI | ソフトバンク | |
|---|---|---|
| 売上高 | 6兆719億円(+4.1%) | 7兆387億円(+7.6%) |
| 営業利益 | 1兆991億円(+1.1%) | 1兆426億円(+5.4%) |
| 営業利益率 | 18.1% | 約14.8% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 7,071億円 | 5,508億円 |
| 主な柱 | パーソナル・ビジネス | コンシューマ、エンタープライズ、ディストリビューション、メディア・EC、ファイナンス |
- 売上高はソフトバンクが大きく、営業利益はKDDIが大きいという関係です
- ソフトバンクには、PayPayなどのファイナンス事業、LINEヤフーなどのメディア・EC事業があり、事業の分け方が違います(→ソフトバンクグループの強みとは)
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
KDDIの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| パーソナルの営業利益 | 8,283億円(−2.1%) | 決算短信(セグメント別) |
| ビジネスの営業利益 | 2,639億円(+12.2%) | 決算短信(セグメント別) |
| 調整後営業利益(会社が予想に使う指標) | 実績1兆1,518億円、2027年3月期予想1兆2,100億円 | 決算短信のサマリー |
| 有利子負債残高 | 5兆3,754億円 | 決算短信(財政状態) |
| 配当 | 年80円(分割後)、2027年3月期予想84円 | 決算短信 |
| 再発防止策の進み具合 | — | 適時開示・有価証券報告書 |
- 会社は2027年3月期の予想を、調整後(非経常的で大規模なコストなどを除いた)の利益で出しています。ふつうの営業利益と混ぜないように注意します
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方、有価証券報告書は決算短信と有価証券報告書の読み方へ

メル美稼ぎの中心はスマホだけど、伸びているのは法人向けのデータセンターなんだね
ほかの通信会社はNTTの強みとはと楽天グループの強みとはへ。
まとめ
- KDDIは、au・UQ mobile・povoの通信に、金融・データセンターなどを重ねる会社
- 2026年3月期は売上高6兆719億円、営業利益1兆991億円(+1.1%)
- 営業利益の約76%が個人向け。伸びているのは法人向けのグロース領域(+12.2%)
- 子会社で架空循環取引が認められ、有価証券報告書を訂正
- ソフトバンクと比べて、売上高は小さく営業利益は大きい
参考文献
- KDDI. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月12日). https://newsroom.kddi.com/ir-news/assets/2026/kddi_ir-1148_4471/kddi_2026_4qc_PsXBu3.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
- ソフトバンク. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月11日). https://www.softbank.jp/corp/set/data/ir/documents/financial_reports/fy2025/pdf/sbkk_financial_report_20260511.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。