
プレ男知り合いの赤ちゃんが、生まれて何日かして「かかとから血をとる検査」をしたんだって。何を調べるんだろう。

メル美「再検査です」って言われたら、すごく心配になりそう……。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、新生児マススクリーニングの話です。日本産婦人科医会の研修ノート「No113 新生児のケア・アップデート」(医師向け)の「新生児マススクリーニング」をもとにまとめました。
どんな検査?
研修ノートによると、
- 日本では1977年から、6つの病気を対象に始まりました。2014年からは、一度に多くの物質を測れる方法(タンデムマス法)が使われ、今は約20の病気が対象です
- 症状が出てからでは十分な治療効果が得られない病気や、発達の遅れ・知的障害につながる病気がふくまれていて、症状が出る前に見つけて治療することで、ふつうの成長発達が期待できます
- 対象には、赤ちゃんの突然死の原因になる病気もふくまれていて、前もってリスクを知ることで、防げるようになりました
対象の病気
研修ノートによると、公費で全国一律に調べている病気には、
- 生まれつきの代謝の病気(フェニルケトン尿症、メープルシロップ尿症、ガラクトース血症など、体の中で物質をうまく分解・利用できない病気)
- 内分泌の病気(先天性甲状腺機能低下症、先天性副腎皮質過形成)
があります。2023年度からは、一部の都道府県で重症複合免疫不全症(SCID)と脊髄性筋萎縮症(SMA)も公費の対象になっていて、参加していない自治体でも、有料で検査を受けられる体制が広がっているとしています。
検査の流れ
研修ノートによると、
- 原則として生後4〜6日(生まれた日を0日とする。生後4日がすすめられる)に、かかとから少し採血して、ろ紙にしみこませて検査センターに送ります
- 2,000g未満で生まれた赤ちゃんは、初回の結果が正常でも、生後1か月など、あとでもう一度採血します
- 血液の量が足りないなどで判定できないときは、もう一度採血します。退院後に病院に来てもらうこともあります
- すべて正常なら、1か月健診で結果が説明され、母子健康手帳に記入されます

新生児マススクリーニングで「陽性」と言われても、すぐに病気と決まるわけではありません。精密検査で正常とわかることもあります。不安なときは、精密検査の医療機関でくわしい説明を受けてください。
「陽性」と言われたら
研修ノートによると、
- スクリーニングは見逃しを防ぐための検査なので、陽性でもすぐに病気と確定するわけではなく、精密検査で正常と判定されることもあります
- 確定までに、特殊な検査や遺伝学的な検査が必要で、時間がかかることがあります
- 多くの保護者は、精密検査の説明を受けるまでにインターネットなどで正確でない情報を集めて不安になりがちです。国立成育医療研究センターのマススクリーニング研究室のウェブサイト「新生児マススクリーニングで『陽性』となった赤ちゃんの保護者の方へ」に、保護者向けの正確な情報があるとしています

プレ男陽性でも、まだ病気と決まったわけじゃないんだね。ネットの情報だけで思いつめないことが大事なんだ。
耳の検査については、赤ちゃんの「新生児聴覚スクリーニング」を見てください。頭のかたちのゆがみについては、赤ちゃんの頭のかたちのゆがみ(斜頭)を見てください。退院後に受診したほうがよいサインは、生後1か月までの赤ちゃん、こんなときはすぐ受診を見てください。
(更新)東京都福祉局の資料「先天性代謝異常等検査(新生児マススクリーニング検査)について」によると、東京都は、国の通知の対象の20疾患に、重症複合免疫不全症(SCID)・脊髄性筋萎縮症(SMA)・B細胞欠損症(BCD)を加えた23疾患の検査を2024年4月から公費で独自に始め、さらにライソゾーム病のうちポンペ病・ムコ多糖症Ⅰ型・Ⅱ型を加えた26疾患の検査を、2025年3月1日以降に採血した赤ちゃんから公費で始めています。国は、2023年度の補正予算で、SCIDとSMAを対象とする実証事業を始めています。東京都以外の道府県の状況や有料検査の費用は確認していません。
世界では
世界保健機関(WHO)は2026年6月、各国に新生児スクリーニングを広げるよう呼びかけました。WHOによると、
- 世界では毎年推計800万人の赤ちゃんが先天的な病気をもって生まれ、先天的な病気は5歳未満の子どもの死亡の約8%をしめます
- 先天性甲状腺機能低下症、鎌状赤血球症、聴覚障害、一部の代謝の病気などは、生まれてすぐ見つければ治療できます
- 50以上の病気を調べる国がある一方、まったく調べられない国もあり、WHOは、まず優先度の高い病気から始めて少しずつ広げるようすすめています
生まれつきの病気全体については、生まれつきの病気(先天異常)を見てください。
まとめ
- 新生児マススクリーニングは、約20の病気を調べる血液検査
- 症状が出る前に見つけて治療すれば、ふつうの成長発達が期待できる
- 採血は生後4〜6日ごろ、かかとから
- 正常なら1か月健診で説明される
- 「陽性」でもすぐに病気と決まるわけではない。精密検査で説明を
参考文献
- 公益社団法人日本産婦人科医会. 研修ノート No113 新生児のケア・アップデート「5.新生児マススクリーニング」((1)意義、(2)対象疾患、(3)検査の流れ、(4)スクリーニング陽性の場合の対応). https://www.jaog.or.jp/notes/note21841/ (閲覧日:2026年10月12日)
- World Health Organization. WHO urges scale up of newborn screening to improve early detection and care of birth defects(News release, 23 June 2026). https://www.who.int/news/item/23-06-2026-who-urges-scale-up-of-newborn-screening-to-improve-early-detection-and-care-of-birth-defects (閲覧日:2026年10月12日)
- 東京都福祉局. 先天性代謝異常等検査(新生児マススクリーニング検査)について(資料4、PDF). https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/fukushi/r6siryo4-sentensei-pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。