お金持ちほど税負担率が下がる?「一億円の壁」:所得税の負担率は所得1億円以下の層の27.1%がピーク、100億円以下の層では17.1%に。株の売却益などが一律20%の分離課税だから。2025年分から「超富裕層への追加課税」、2027年分から強化
政府税制調査会の答申(2023年6月)によると、申告納税者の所得税負担率(2020年分)は、合計所得金額5,000万円超〜1億円の層の27.1%が最も高く、それより所得の多い層では下がり、50億円超〜100億円の層は17.1%でした。高所得者ほど、税率が一律の分離課税の株式の譲渡益などの割合が高いためで、「一億円の壁」と呼ばれます。これに対し2025年分から、基準所得金額3億3,000万円を超える部分に22.5%で計算した税額との差を追加で納める「特定の基準所得金額の課税の特例」が始まり、財務省の大綱では2027年分から1億6,500万円超・30%に強化されます。

プレ男すごいお金持ちほど、税金の割合が低いって聞いたんだけど、本当?ずるくない?

メル美脱税じゃなくて、税のしくみの問題なんだって。国の資料で見てみよう。
今回は、「資産や所得がとても多い人の税負担」の話です。政府税制調査会の答申「わが国税制の現状と課題」(2023年6月)、国税庁のページ、財務省の「令和8年度税制改正の大綱」で確認した内容をまとめました。ここで紹介するのは法律にしたがった合法的なしくみで、脱税の話ではありません。
所得が1億円をこえると、負担率が下がる
政府税制調査会の答申には、申告納税者の所得税負担率(所得にしめる所得税の割合、2020年分)のグラフがあります。
| 合計所得金額 | 所得税負担率 |
|---|---|
| 1,000万〜1,200万円 | 11.9% |
| 2,000万〜3,000万円 | 21.3% |
| 3,000万〜5,000万円 | 24.7% |
| 5,000万〜1億円 | 27.1%(いちばん高い) |
| 1億〜2億円 | 26.7% |
| 5億〜10億円 | 21.4% |
| 20億〜50億円 | 20.0% |
| 50億〜100億円 | 17.1% |
| 100億円超 | 19.6% |
- 所得が増えるほど負担率は上がりますが、1億円ほどをピークに下がっていきます。答申は、この状況を「一億円の壁」と指摘されるものとして紹介しています

プレ男50億〜100億円の人より、5,000万〜1億円の人のほうが、割合では10%も多く払ってるのか!
なぜ下がるの?:分離課税の所得が多いから
- 答申によると、高所得者層では、金融所得などの分離課税が適用される所得が、全体の所得の中で高い割合をしめるため、負担率が下がります
- 給与などは最高45%の累進税率ですが、株式の譲渡益は所得がいくら多くても所得税15%(住民税5%)です(→分離課税)
- 答申の資料では、所得が1億円を超える人(約1.9万人)の所得の内訳は、非上場株式等の譲渡所得 27.4%、土地建物の長期譲渡所得 21.3%、上場株式等の譲渡所得等 14.4%、給与所得 19.3%、その他 17.6%でした

メル美お金持ちの所得の6割以上が、株や土地を売った利益なんだね。
持っているだけでは、所得税はかからない
- 国税庁のタックスアンサーのとおり、株式の譲渡所得は、株式等を譲渡(売却)したときに課税されます。株を売らずに持ち続けて、値上がりしている(含み益)だけでは、所得税はかかりません
- 資産そのものには、固定資産税(固定資産税)や、亡くなったとき・もらったときの相続税・贈与税(相続税と贈与税)がかかります
2025年分から:超富裕層への追加課税
- 令和5年度税制改正で、「極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置」(正式には「特定の基準所得金額の課税の特例」)ができ、2025年(令和7年)分から始まりました
- しくみ:
- 株の譲渡所得だけでなく、土地建物の譲渡所得、給与・事業所得などを全部合計した「基準所得金額」から3億3,000万円を引く
- 残りに22.5%(所得税の最高税率45%の半分)をかける
- その金額がふつうに計算した所得税額より多ければ、差額を追加で納める
- 国税庁によると、対象は「おおむね平均的な水準として30億円を超える高い所得」です
2027年分から:さらに強化
財務省の「令和8年度税制改正の大綱」(2025年12月26日閣議決定)では、2027年(令和9年)分以後、この特例を次のように見直すとしています。
| 2025・2026年分 | 2027年分から | |
|---|---|---|
| 差し引く金額(基準) | 3億3,000万円 | 1億6,500万円 |
| 税率 | 22.5% | 30% |
- 大綱の試算では、この見直しで平年度2,870億円の増収が見込まれ、いまの制度の分(1,130億円)とあわせて平年度4,000億円になるとされています

プレ男ずるいって思う前に、しくみを知るのが大事なんだね。ちゃんと見直しも進んでるのか。
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まとめ
- 所得税負担率は所得1億円ほどの27.1%がピークで、50億〜100億円では17.1%(2020年分)=「一億円の壁」
- 理由は、高所得者ほど株や土地の売却益など、一律の税率の分離課税の所得が多いから
- 株は売るまで所得税がかからない(含み益には課税されない)
- 2025年分から超富裕層への追加課税(3.3億円超に22.5%)、2027年分から1.65億円超・30%に強化(大綱)
参考文献
- 税制調査会. わが国税制の現状と課題 ―令和時代の構造変化と税制のあり方―(2023年6月)「所得税負担率(ミクロ)」〔資料2-I-10〕〔資料2-I-11〕. https://www.soumu.go.jp/main_content/000897002.pdf (閲覧日:2026年10月3日)
- 国税庁. 極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置について. https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kiwataka/index.htm (閲覧日:2026年10月3日)
- 国税庁. No.2260 所得税の税率(令和8年4月1日現在法令等). https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm (閲覧日:2026年10月3日)
- 国税庁. No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)(令和8年4月1日現在法令等). https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1463.htm (閲覧日:2026年10月3日)
- 財務省. 令和8年度税制改正の大綱(2025年12月26日閣議決定). https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/20251226taikou.pdf (閲覧日:2026年10月3日)
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