
メル美母が「更年期をすぎてから、デリケートゾーンがヒリヒリするし、トイレも近くなった」って言ってたの。年のせいだから仕方ないのかな……。

プレ男デリケートゾーンとトイレの悩みって、つながってるの?
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、閉経のころから起こる、デリケートゾーンと尿の不調「GSM」の話です。日本産婦人科医会の研修ノート「中高年女性のケア・アップデート」の「GSMの病態・診断・治療」(医師向け)をもとにまとめました。腟の乾燥そのものについては腟の乾燥を見てください。
GSMとは
日本産婦人科医会の研修ノートによると、
- GSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)は、腟の慢性の炎症と萎縮によって、感覚が過敏になったり、働きが落ちたりする状態です
- 炎症は近くの尿道にも広がり、トイレが近い、排尿のときの違和感などの症状が出ることがあります
- 40歳前後から起こりはじめ、70歳ごろからは、座ったときの外陰部の痛みや、腟が縮んでかたくなることもみられるようになります

プレ男デリケートゾーンの不調と、トイレが近いのは、同じところから来ていることがあるんだね。
なぜ起こるの?
研修ノートによると、次のようなことが関係しています。
- 女性ホルモン(エストロゲン)の減少:閉経の前後から、腟の粘膜の新陳代謝がとても遅くなり、粘膜がうすくなって、修復や再生がにぶくなります
- 年齢による粘膜の変化:皮膚と同じように、粘膜の再生や防御の力が落ちます。もともと粘膜のトラブルが起こりやすい体質の人もいます
- 汚れがたまりやすいつくり:腟は尿道や肛門の近くにあり、下着やパッドをつけていると、排せつ物の成分などが腟の入り口に届きやすくなります。年齢とともに、排尿のときに尿が周りの汚れを巻きこんで腟に流れこむこともあります
診察では
研修ノートによると、
- ほかの症状についても順番にたずね、腟の状態を評価します
- 膀胱炎、ヘルペス、カンジダ、硬化性苔癬、外陰がんなど、ほかの原因を除くことが大切です(陰部が白くなって、かゆい・ひりひりする、外陰がん)
- 閉経後に骨盤臓器脱があると、GSMが悪くなることがあります(お風呂で陰部にピンポン玉のようなものが…)

デリケートゾーンのヒリヒリやトイレの悩みは、「年のせい」とがまんしなくて大丈夫です。手入れのしかたと治療で、よくなることが多い症状です。婦人科で相談してください。
自分でできる手入れ
研修ノートでは、腟の粘膜への悪い影響を減らすために、次のような指導があげられています。
- 排尿のときは、太ももを大きく開くなどして、尿が腟に流れこまないようにする
- 排尿後は、トイレットペーパーを数秒間そっと押し当てて、こすらずに尿を吸いとる
- 下着やパッド・ライナーで腟の入り口をふさぎっぱなしにしない
- 入浴やシャワーのとき、石けんなどで、外側についた垢や汚れをとる
- 温水洗浄便座は、排便後の肛門のまわりの洗浄だけに使い、ビデ機能は使わない
保湿剤や保護剤を使うときは、汚れがついたままぬると汚れが広がるので注意するようにとしています。
治療
研修ノートによると、
- ホルモン補充療法(HRT)を受けていない人には、腟に入れるエストリオール(女性ホルモン)の錠剤を、週2〜3回使うことを考えます。腟の粘膜の状態がよくなり、血液中の女性ホルモンの値は大きく上がらないとされています(ただし、子宮内膜への影響がないかは確かめる必要があります)
- 使いはじめると1〜2週間で腟の状態はすみやかによくなりますが、慢性の炎症がおさまるには、手入れを続けた状態を数週間から数か月保つことが必要です
(更新)日本のエストリオール腟錠の添付文書(2022年2月改訂)では、効能・効果は「腟炎(老人、小児及び非特異性)、子宮頸管炎並びに子宮腟部びらん」で、通常、1日1回0.5〜1.0mgを腟に入れるとされています。定期的に婦人科の検査(乳房をふくむ)を受けることとされています。保険の扱いや、日本の一般向け資料での「GSM」の説明は確認していません。
更年期のほかの症状については女性の更年期、HRTについてはホルモン補充療法(HRT)のよくある疑問、セックスの痛みについてはセックスのときに痛い(性交痛)を見てください。
まとめ
- GSMは、閉経のころからの腟の慢性の炎症と萎縮で起こる
- 腟の乾燥・ヒリヒリ・性交痛だけでなく、トイレが近い、排尿の違和感も
- 40歳前後から起こることがある
- こすらない、ふさがない、ビデを使わないなどの手入れ
- 腟に入れる女性ホルモンの薬で治療できる。がまんせず婦人科へ
参考文献
- 公益社団法人日本産婦人科医会. 研修ノート No114 中高年女性のケア・アップデート「(1)GSMの病態」「(2)GSMの診断」「(3)GSMの治療」. https://www.jaog.or.jp/note/%ef%bc%881%ef%bc%89gsm-%e3%81%ae%e7%97%85%e6%85%8b/ (閲覧日:2026年10月10日)
- エストリオール腟錠 添付文書(2022年2月改訂 第2版). KEGG MEDICUS. https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00055306 (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。