性感染症の検査、どこを調べる?尿だけでは「のど」と「おしり」の感染は見つからない。した行為で調べる場所が変わる。男性は尿、女性は腟の検体が基本
性感染症の検査は、した行為によって調べる場所がちがいます。米国CDCのガイドラインでは、クラミジア・淋菌の検査は、男性は尿、女性は腟の検体(自分でとってもOK)が基本。オーラルセックスをした人はのど、アナルセックスで受け入れる側になった人はおしり(直腸)の検査も考えます。尿の検査だけでは、のどや直腸の感染は見つかりません。梅毒・HIV・B型肝炎などは血液検査です。検査を受ける前に知っておきたい「どこを調べるか」をまとめました。

プレ男この前、尿の検査で「異常なし」だったんだ。これで全部大丈夫ってことだよね?

メル美のどの検査は別だって聞いたことがあるよ。オーラルセックスもしてたなら、どうなんだろう。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、性感染症の検査で「どこを調べるか」の話です。クラミジアや淋菌は、感染した場所にしかいないことが多いので、した行為によって、調べる場所が変わります。米国CDCの性感染症治療ガイドライン(2021年)をもとにまとめました。
調べる場所と、わかる病気
| 調べる場所 | とり方 | 主にわかる病気 | こんな人に |
|---|---|---|---|
| 尿(男性) | 出しはじめの尿をとる | クラミジア、淋菌 | 腟や肛門に挿入する側のセックスをした男性 |
| 腟(女性) | 綿棒で腟の中をぬぐう(自分でとってもよい) | クラミジア、淋菌、トリコモナス | 腟のセックスをした女性 |
| のど | 綿棒でのどをぬぐう | 淋菌(クラミジアも同時にわかることがある) | オーラルセックス(フェラチオなど)をした人 |
| おしり(直腸) | 綿棒で肛門の中をぬぐう(自分でとってもよい) | クラミジア、淋菌 | アナルセックスで受け入れる側になった人 |
| 血液 | 採血 | 梅毒、HIV、B型肝炎、C型肝炎 | 性的な接触があったすべての人 |
出典:CDC性感染症治療ガイドライン2021(検体の種類と推奨)をもとに作成
- CDCは、クラミジア・淋菌の検査の検体は、男性は出しはじめの尿、女性は腟の綿棒がもっとも適しているとしています
- 女性が自分でとった腟の検体は、医師がとったものと同じくらいの精度で、受け入れられやすい方法とされています
- のどや直腸の検体も、説明を受けたうえで自分でとってよいとされています。直腸の検体を自分でとった場合の精度は、医師がとった場合と同じくらいと報告されています

プレ男尿の検査で「異常なし」でも、のどやおしりのことはわからないんだ…。
尿だけでは、のどやおしりの感染は見つからない
- 尿の検査でわかるのは、尿道(性器)の感染です。のどや直腸の感染は、その場所を調べないとわかりません
- のどや直腸のクラミジア・淋菌は、症状がほとんどないことが多いです(のどの性感染症、直腸炎)
- CDCは、男性と性行為をする男性には、した行為に合わせて、尿・直腸・のどの検査をすすめています。また、問診だけで決めると、話しにくさなどから見のがしがあること、自分ではリスクがないと思っていても、直腸やのどの感染が見つかることがあるとしています
- 女性でも、した行為によっては、のどや直腸の淋菌の検査を、医師と相談して考えてもよいとしています
のどのクラミジアは?
- CDCは、のどのクラミジアは臨床的な意味がはっきりしないとして、ルーチンの検査はすすめていません。ただし、のどの淋菌を調べたときにクラミジアが見つかったら、性器にうつることがあるので治療するとしています
- 日本での、のどのクラミジアの検査の考え方は、医師に相談してください

クラミジアや淋菌は、感染した場所を調べないと見つかりません。受診のときは、した行為を遠慮なく伝えてください。それで、どこを調べるかが決まります。
血液でわかる病気
- 梅毒、HIV、B型肝炎、C型肝炎は、血液検査で調べます
- CDCは、クラミジアと診断された人は、HIV・淋菌・梅毒の検査も受けるべきだとしています。ひとつ見つかったら、ほかの性感染症も一緒に調べましょう
- 結果の読み方は、梅毒の血液検査の見方やHIV検査の結果の見方の記事を見てください
皮膚や粘膜に症状があるとき
- 水ぶくれ・ただれ・潰瘍・イボがあるときは、その場所を診察し、必要に応じて検体をとって調べます(陰部潰瘍、陰部のブツブツ)
- 症状がある場所は、症状のない場所の検査では見つからないことがあります。症状はすべて伝えてください
受診のときに伝えること
検査する場所を決めるために、次のことを伝えてください。はずかしいかもしれませんが、医師にとっては大事な情報で、責めるために聞くのではありません。
- 最後に性的な接触があった日(検査のタイミングを決めるため。潜伏期間と検査のタイミング)
- どんな行為をしたか:腟のセックス、オーラルセックス(する側・される側)、アナルセックス(入れる側・受け入れる側)、コンドームを使ったか
- 症状がある場所
- 過去にかかった性感染症(とくに梅毒は、治ったあとも抗体が残るため)

メル美した行為を伝えるのは、正しい場所を調べてもらうためなんだね。
郵送検査を使うときの注意
- 郵送検査のキットは、尿だけ、血液だけなど、調べる場所が限られていることがあります。オーラルセックスやアナルセックスをしたなら、のど・直腸のキットが入っているか確かめましょう
- 郵送検査と医療機関の検査のちがいは、性感染症の検査の受け方の記事にまとめています
HIVが心配なときに、献血を検査の代わりにするのはやめましょう(献血をHIV検査の代わりにしないで)。
まとめ
- クラミジア・淋菌は、感染した場所を調べないと見つからない
- 基本は、男性は尿、女性は腟の綿棒(自分でとってもOK)
- オーラルセックス→のど、アナルセックスで受け入れる側→直腸も
- 梅毒・HIV・B型肝炎・C型肝炎は血液。ひとつ見つかったら、ほかも一緒に
- 受診のときは、いつ・どんな行為をしたかを伝える
参考文献
- Workowski KA, et al. Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines, 2021(Men Who Have Sex with Men、Chlamydial Infections、Gonococcal Infections の各項). MMWR Recomm Rep. 2021;70(4):1-187. https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/70/rr/rr7004a1.htm (閲覧日:2026年10月4日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
