基礎知識2026年10月13日

性感染症は自然に治る?:クラミジアやトリコモナス、尖圭コンジローマ、マイコプラズマ・ジェニタリウムは自然に消えることもあるが、だれが消えるかはわからない。梅毒は症状が消えても治っていない。待たずに検査と治療を

性感染症は、治療しなくても自然に治ることがあるのかを、論文とWHOのファクトシート、日本性感染症学会の資料をもとにまとめました。クラミジアは、症状のない女性82人を追った研究で4年後には94%で見つからなくなりました。のどの淋菌は、消えるまでの期間の中央値が約16週でした。トリコモナスは、男性で自然に消えた例が36%という研究がある一方、多くは数日では消えませんでした。マイコプラズマ・ジェニタリウムは、数か月〜1年で消える人が多い研究がありますが、消えたあとにまた陽性になる人もいて、症状があれば治療が必要です。尖圭コンジローマは約30%が自然に小さくなりますが、どのイボが消えるかは予測できません。梅毒は、治療しなくても症状が消えることがありますが、体の中では続いていて、数年後に第3期へ進むことがあります。ヘルペスやHIVは自然には治りません。自然に消えるのを待つあいだにパートナーにうつしたり、不妊などの合併症が起きたりするおそれがあるので、待たずに検査と治療を受けることが大切です。

目次
  1. 病気ごとの早見表
  2. クラミジア:年単位で消えることも。でも合併症の心配
  3. 淋菌:のどの淋菌は約16週続いた
  4. トリコモナス:男性で消える例はあるが、すぐには消えない
  5. マイコプラズマ・ジェニタリウム:消える人が多いが、症状があれば治療を
  6. 梅毒:「症状が消えた」は「治った」ではない
  7. 尖圭コンジローマ(HPV):約30%は自然に消えるが、予測できない
  8. 自然には治らないもの、自然に消えることがあるウイルス
  9. 「様子を見る」をすすめない3つの理由
  10. まとめ

プレ男性病って、放っておいても自然に治ることはないの?症状がなくなったら、もう大丈夫だよね?

メル美病院に行くのが恥ずかしくて、様子を見たくなる気持ちはわかる。でも、本当に治るのかな。

こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、性感染症は治療しなくても自然に治るのかという話です。論文、WHO(世界保健機関)のファクトシート、日本性感染症学会の資料をもとに、病気ごとにまとめました。

先に結論を言うと、自然に消えることがある性感染症もありますが、だれが・いつ消えるかはわかりません。そして、待っているあいだにパートナーにうつしたり、合併症が起きたりすることがあります。

病気ごとの早見表

病気 治療しないで自然に消えることは? 待つと困ること
クラミジア 長い期間で消える例が多い研究がある 骨盤内炎症性疾患・不妊・異所性妊娠など
淋菌 のどの淋菌は中央値で約16週続いた 不妊、男性の陰嚢の腫れ・尿道狭窄など
トリコモナス 男性で自然に消えた例はあるが、多くは数日では消えない 妊娠中の早産・低出生体重など
マイコプラズマ・ジェニタリウム 数か月〜1年で消える人が多い研究がある(また陽性になる人も) 男性の尿道炎、女性の子宮頸管炎・骨盤内炎症性疾患。薬が効きにくい菌が多い
梅毒 症状は消えるが、感染は続く 数年後に皮膚・心臓・血管・脳神経の病気、母子感染
尖圭コンジローマ 約30%は自然に小さくなる どのイボが消えるかは予測できない
ヘルペス・HIV 自然には治らない 薬で症状やウイルスをおさえる

クラミジア:年単位で消えることも。でも合併症の心配

クラミジアは年単位で自然に消える例もありますが、そのあいだに骨盤内炎症性疾患や不妊などにつながることがあります。早く治療すれば、長く残る問題はほとんど起こりません。

淋菌:のどの淋菌は約16週続いた

トリコモナス:男性で消える例はあるが、すぐには消えない

マイコプラズマ・ジェニタリウム:消える人が多いが、症状があれば治療を

ジェニタリウムは、ほかの性感染症とちがい、海外のガイドラインでは症状のない人全員に行う検査はすすめられていません。症状のない人を治療する効果が確かめられておらず、薬の効かない菌をふやすおそれがあるためです。ただし、尿道炎などの症状があるときや、パートナーが陽性のときは、検査と治療が必要です。日本では、薬が効きにくい菌がとても多くなっています(マイコプラズマ・ジェニタリウム)。

梅毒:「症状が消えた」は「治った」ではない

プレ男しこりや発疹が消えても、梅毒は体の中に残っているんだ。消えたから大丈夫、じゃないんだね。

尖圭コンジローマ(HPV):約30%は自然に消えるが、予測できない

自然には治らないもの、自然に消えることがあるウイルス

WHOのファクトシートによると、

「様子を見る」をすすめない3つの理由

  1. だれが自然に消えるか、わからない:研究の数字は集団の話で、自分のが消えるかどうかは検査しないとわかりません
  2. 待っているあいだに、パートナーにうつすことがある:症状がなくてもうつります
  3. 合併症は、気づかないうちに進むことがある:不妊や異所性妊娠、梅毒の第3期、赤ちゃんへの感染など

なお、マイコプラズマ・ジェニタリウムは、症状がなければ検査そのものがすすめられていない、例外的な性感染症です。症状やパートナーの陽性があれば、医療機関で相談してください。

クラミジア・淋菌・梅毒・トリコモナスは、薬で治せる性感染症です(性感染症は治る?)。

メル美自然に消えるのを待つより、検査して治したほうが、自分にもパートナーにも安心だね。

それぞれの病気は、クラミジア、淋菌、トリコモナス、マイコプラズマ・ジェニタリウム、梅毒、尖圭コンジローマ、性器ヘルペス、B型肝炎、C型肝炎を見てください。

まとめ


参考文献

  1. Molano M, et al. The natural course of Chlamydia trachomatis infection in asymptomatic Colombian women: a 5-year follow-up study. J Infect Dis. 2005;191(6):907-916. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15717266/ (閲覧日:2026年10月13日)
  2. Geisler WM. Duration of untreated, uncomplicated Chlamydia trachomatis genital infection and factors associated with chlamydia resolution: a review of human studies. J Infect Dis. 2010;201 Suppl 2:S104-S113. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20470048/ (閲覧日:2026年10月13日)
  3. Barbee LA, et al. The Duration of Pharyngeal Gonorrhea: A Natural History Study. Clin Infect Dis. 2021;73(4):575-582. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33513222/ (閲覧日:2026年10月13日)
  4. Krieger JN, et al. Natural history of urogenital trichomoniasis in men. J Urol. 1993;149(6):1455-1458. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8501787/ (閲覧日:2026年10月13日)
  5. Van Gerwen OT, et al. Spontaneous resolution of Trichomonas vaginalis infection in men. Sex Transm Infect. 2024;100(7):450-453. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38937096/ (閲覧日:2026年10月13日)
  6. Grillo-Ardila CF, et al. Imiquimod for anogenital warts in non-immunocompromised adults. Cochrane Database Syst Rev. 2014;(11):CD010389. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25362229/ (閲覧日:2026年10月13日)
  7. Vandepitte J, et al. Natural history of Mycoplasma genitalium infection in a cohort of female sex workers in Kampala, Uganda. Sex Transm Dis. 2013;40(5):422-427. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23588134/ (閲覧日:2026年10月13日)
  8. Berdoyes M, et al. Spontaneous Clearance of Vaginal Mycoplasma genitalium in Women Undergoing Pregnancy Termination: A Prospective Cohort Study. BJOG. 2026;133(5):1074-1082. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41502158/ (閲覧日:2026年10月13日)
  9. Ring A, et al. High Rates of Asymptomatic Mycoplasma genitalium Infections With High Proportion of Genotypic Resistance to First-Line Macrolide Treatment Among Men Who Have Sex With Men Enrolled in the Zurich Primary HIV Infection Study. Open Forum Infect Dis. 2022;9(6):ofac217. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35783686/ (閲覧日:2026年10月13日)
  10. Tosh AK, et al. Mycoplasma genitalium among adolescent women and their partners. J Adolesc Health. 2007;40(5):412-417. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17448398/ (閲覧日:2026年10月13日)
  11. Gnanadurai R, Fifer H. Mycoplasma genitalium: A Review. Microbiology (Reading). 2020;166(1):21-29. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31329090/ (閲覧日:2026年10月13日)
  12. 日本性感染症学会「梅毒診療の基本知識」作成ワーキンググループ. 梅毒診療の基本知識(PDF). https://jssti.jp/pdf/syphilis-medical_basicknowledge.pdf (閲覧日:2026年10月13日)
  13. World Health Organization. Chlamydia(ファクトシート). https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/chlamydia (閲覧日:2026年10月13日)
  14. World Health Organization. Gonorrhoea (Neisseria gonorrhoeae infection)(ファクトシート). https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/gonorrhoea-(neisseria-gonorrhoeae-infection) (閲覧日:2026年10月13日)
  15. World Health Organization. Trichomoniasis(ファクトシート). https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/trichomoniasis (閲覧日:2026年10月13日)
  16. World Health Organization. Syphilis(ファクトシート). https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/syphilis (閲覧日:2026年10月13日)
  17. World Health Organization. Human papillomavirus and cancer(ファクトシート). https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/human-papilloma-virus-and-cancer (閲覧日:2026年10月13日)
  18. World Health Organization. Herpes simplex virus(ファクトシート). https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/herpes-simplex-virus (閲覧日:2026年10月13日)
  19. World Health Organization. HIV and AIDS(ファクトシート). https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/hiv-aids (閲覧日:2026年10月13日)
  20. World Health Organization. Hepatitis B(ファクトシート). https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/hepatitis-b (閲覧日:2026年10月13日)
  21. World Health Organization. Hepatitis C(ファクトシート). https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/hepatitis-c (閲覧日:2026年10月13日)

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。