性感染症は自然に治る?:クラミジアやトリコモナス、尖圭コンジローマ、マイコプラズマ・ジェニタリウムは自然に消えることもあるが、だれが消えるかはわからない。梅毒は症状が消えても治っていない。待たずに検査と治療を
性感染症は、治療しなくても自然に治ることがあるのかを、論文とWHOのファクトシート、日本性感染症学会の資料をもとにまとめました。クラミジアは、症状のない女性82人を追った研究で4年後には94%で見つからなくなりました。のどの淋菌は、消えるまでの期間の中央値が約16週でした。トリコモナスは、男性で自然に消えた例が36%という研究がある一方、多くは数日では消えませんでした。マイコプラズマ・ジェニタリウムは、数か月〜1年で消える人が多い研究がありますが、消えたあとにまた陽性になる人もいて、症状があれば治療が必要です。尖圭コンジローマは約30%が自然に小さくなりますが、どのイボが消えるかは予測できません。梅毒は、治療しなくても症状が消えることがありますが、体の中では続いていて、数年後に第3期へ進むことがあります。ヘルペスやHIVは自然には治りません。自然に消えるのを待つあいだにパートナーにうつしたり、不妊などの合併症が起きたりするおそれがあるので、待たずに検査と治療を受けることが大切です。
目次

プレ男性病って、放っておいても自然に治ることはないの?症状がなくなったら、もう大丈夫だよね?

メル美病院に行くのが恥ずかしくて、様子を見たくなる気持ちはわかる。でも、本当に治るのかな。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、性感染症は治療しなくても自然に治るのかという話です。論文、WHO(世界保健機関)のファクトシート、日本性感染症学会の資料をもとに、病気ごとにまとめました。
先に結論を言うと、自然に消えることがある性感染症もありますが、だれが・いつ消えるかはわかりません。そして、待っているあいだにパートナーにうつしたり、合併症が起きたりすることがあります。
病気ごとの早見表
| 病気 | 治療しないで自然に消えることは? | 待つと困ること |
|---|---|---|
| クラミジア | 長い期間で消える例が多い研究がある | 骨盤内炎症性疾患・不妊・異所性妊娠など |
| 淋菌 | のどの淋菌は中央値で約16週続いた | 不妊、男性の陰嚢の腫れ・尿道狭窄など |
| トリコモナス | 男性で自然に消えた例はあるが、多くは数日では消えない | 妊娠中の早産・低出生体重など |
| マイコプラズマ・ジェニタリウム | 数か月〜1年で消える人が多い研究がある(また陽性になる人も) | 男性の尿道炎、女性の子宮頸管炎・骨盤内炎症性疾患。薬が効きにくい菌が多い |
| 梅毒 | 症状は消えるが、感染は続く | 数年後に皮膚・心臓・血管・脳神経の病気、母子感染 |
| 尖圭コンジローマ | 約30%は自然に小さくなる | どのイボが消えるかは予測できない |
| ヘルペス・HIV | 自然には治らない | 薬で症状やウイルスをおさえる |
クラミジア:年単位で消えることも。でも合併症の心配
- 南米コロンビアで、症状のないクラミジアの女性82人を半年ごとに調べた研究では、4年後には94%でクラミジアが見つからなくなっていました(2005年)
- ただ、治療しないクラミジアがどのくらい続き、何が自然に消えるのを左右するのかは、まだ完全にはわかっていないとされています(2010年の米国の研究者のまとめ)
- WHOは、治療しないクラミジアは、女性で骨盤内炎症性疾患や不妊、異所性妊娠などの重い問題につながることがあり、HIVなどほかの性感染症にもかかりやすくなるとしています。早く治療すれば、長く残る問題はほとんど起こりません

クラミジアは年単位で自然に消える例もありますが、そのあいだに骨盤内炎症性疾患や不妊などにつながることがあります。早く治療すれば、長く残る問題はほとんど起こりません。
淋菌:のどの淋菌は約16週続いた
- 米国で、男性どうしで性行為をする人140人が毎週のどの検査をした研究では、治療しないのどの淋菌が続いた期間の中央値は約16週で、それまで考えられていたより2倍以上長いとされました(2021年)。研究者は、この長さが淋菌の広がりにつながっていると考えています
- WHOは、治療しない淋菌は、女性では骨盤内炎症性疾患・異所性妊娠・不妊、男性では陰嚢の腫れ・尿道狭窄・不妊につながることがあるとしています。さらに、薬が効きにくい淋菌もふえています
トリコモナス:男性で消える例はあるが、すぐには消えない
- 米国の男性の研究(1993年)では、治療しなかった男性の36%で自然に消えた一方、症状のない男性で4か月ずっと続いた例もありました
- 2024年の米国の研究では、トリコモナスが陽性だった男性37人のうち、平均8.4日後にもう一度調べると70.3%がまだ陽性で、研究者は「多くの男性は、短い期間では自然に消えない」としています
- WHOによると、男性は症状がないことが多い一方、女性ではおりものなどの症状が出ることがあり、妊娠中に治療しないと早産や低出生体重などにつながることがあります
マイコプラズマ・ジェニタリウム:消える人が多いが、症状があれば治療を
- ウガンダの女性119人を3か月ごとに調べた研究(2013年)では、治療しないで3か月以内に55%、6か月以内に83%、12か月以内に93%で見つからなくなりました。一方、いったん消えたあと39%でまた陽性になりました
- フランスで、人工妊娠中絶を受ける前に陽性だった女性48人を約9週間追った研究(2026年)では、45.8%で自然に消えました
- スイスの、ほとんどが男性どうしで性行為をする人の研究(2022年)では、ジェニタリウムの93%は症状がなく、陽性の人の30%で自然に消えました
- 米国の10代の女性の研究(2007年)では、治療しなかった例の31.3%が8週間より長く続きました
- 英国の公衆衛生機関の研究者のまとめ(2020年)では、治療しないジェニタリウムの経過はまだよくわかっていないものの、多くの人は症状がなく、病気にならずに消えるとしています。一方で、男性の尿道炎の原因になり、女性の子宮頸管炎や骨盤内炎症性疾患の原因にもなると考えられています
ジェニタリウムは、ほかの性感染症とちがい、海外のガイドラインでは症状のない人全員に行う検査はすすめられていません。症状のない人を治療する効果が確かめられておらず、薬の効かない菌をふやすおそれがあるためです。ただし、尿道炎などの症状があるときや、パートナーが陽性のときは、検査と治療が必要です。日本では、薬が効きにくい菌がとても多くなっています(マイコプラズマ・ジェニタリウム)。
梅毒:「症状が消えた」は「治った」ではない
- WHOによると、梅毒の第1期のしこりやただれ、第2期の発疹は、治療しなくても消えます。しかし、治療しないと梅毒は何年も続きます
- 日本性感染症学会の「梅毒診療の基本知識」でも、梅毒の症状は治療しなくてもよくなったように見えることがあり、これが受診の遅れにつながりやすいとしています
- 症状のない時期(潜伏梅毒)でも、性的接触でうつったり、妊娠中に赤ちゃんにうつったりすることがあります
- 治療しないまま数年たつと、体の中で炎症が進み、皮膚・心臓や血管・脳神経の病気(第3期梅毒)を起こすことがあります

プレ男しこりや発疹が消えても、梅毒は体の中に残っているんだ。消えたから大丈夫、じゃないんだね。
尖圭コンジローマ(HPV):約30%は自然に消えるが、予測できない
- 尖圭コンジローマの治療についての研究のまとめ(コクラン・レビュー、2014年)では、約30%の人でイボが自然に小さくなる一方、どのイボが残るかを見分ける方法はないとされています
- 原因のHPVは、WHOによると90%の人で体が自分でおさえ、多くは1〜2年で体から消えます。一方、消えずに続く高リスク型のHPVは、子宮頸がんなどの原因になります
自然には治らないもの、自然に消えることがあるウイルス
WHOのファクトシートによると、
- 性器ヘルペス:薬で症状を軽くできますが、感染そのものは治せません。症状はくり返すことがあります
- HIV:治す方法はありませんが、治療でウイルスをおさえ、長く健康に暮らせます
- B型肝炎:大人になってから感染した場合、慢性(長く続く感染)になるのは5%未満で、多くは回復します
- C型肝炎:感染した人の約30%(15〜45%)は、6か月以内に治療なしでウイルスが消えます。残りの約70%は慢性になります
「様子を見る」をすすめない3つの理由
- だれが自然に消えるか、わからない:研究の数字は集団の話で、自分のが消えるかどうかは検査しないとわかりません
- 待っているあいだに、パートナーにうつすことがある:症状がなくてもうつります
- 合併症は、気づかないうちに進むことがある:不妊や異所性妊娠、梅毒の第3期、赤ちゃんへの感染など
なお、マイコプラズマ・ジェニタリウムは、症状がなければ検査そのものがすすめられていない、例外的な性感染症です。症状やパートナーの陽性があれば、医療機関で相談してください。
クラミジア・淋菌・梅毒・トリコモナスは、薬で治せる性感染症です(性感染症は治る?)。

メル美自然に消えるのを待つより、検査して治したほうが、自分にもパートナーにも安心だね。
それぞれの病気は、クラミジア、淋菌、トリコモナス、マイコプラズマ・ジェニタリウム、梅毒、尖圭コンジローマ、性器ヘルペス、B型肝炎、C型肝炎を見てください。
まとめ
- クラミジア:年単位で消える例が多い研究もあるが、そのあいだに不妊などの合併症のおそれ
- 淋菌:のどの淋菌は約16週続いた。薬が効きにくい菌もふえている
- トリコモナス:男性で消える例はあるが、多くは数日では消えない
- マイコプラズマ・ジェニタリウム:数か月〜1年で消える人が多いが、また陽性になる人も。症状があれば治療を
- 梅毒:症状が消えても治っていない。数年後に重い病気になることも
- 尖圭コンジローマ:約30%は自然に小さくなるが、予測できない
- ヘルペス・HIVは自然には治らない
- 「様子を見る」より、検査を受けて、治療を
参考文献
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この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
