こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、死産の話です。とてもつらいテーマですが、知っておくことで、赤ちゃんを守るためにできることもあります。英国NHSの資料と、日本の法令をもとにまとめました。
もし、いま赤ちゃんを亡くしてこの記事を読んでいる方がいたら、あなたのせいではありません。つらい気持ちを、ひとりで抱えなくていいのです。
死産とは
- 日本では、「死産の届出に関する規程」で、死産は妊娠第4月以後における死児の出産とされています。死産があったときは、医師または助産師の死産証書(死胎検案書)を添えて、7日以内に市町村長に届け出ます
- 英国では、妊娠24週を過ぎて、亡くなった赤ちゃんが生まれることを死産とし、イングランドではお産の約250件に1件とされています(NHS)。24週より前は、流産などと呼ばれます(流産)
(更新)厚生労働省の「令和7(2025)年人口動態統計(確定数)」で確認しました。人口動態統計の死産は「妊娠満12週以後の死児の出産」と定義されています。2025年の死産数は1万5,329胎で、死産率(出産千あたり)は22.3でした(自然死産と人工死産の両方をふくむ)。こども家庭庁の資料でも、出産育児一時金などの対象は「妊娠満12週(85日)以降の流産・死産」と説明されています
原因
NHSによると、
- 健康に見える赤ちゃんで、原因がわからないことが多くあります
- 多くは胎盤のトラブルと関係しています(胎盤のトラブル)
- そのほか、お産の前やお産の途中の出血、常位胎盤早期剥離、妊娠高血圧腎症、へその緒のトラブル、妊娠性肝内胆汁うっ滞症(強いかゆみが出る肝臓の病気)、赤ちゃんの病気、もともとある糖尿病、感染症などが関係することがあります(妊娠高血圧症候群、妊娠中のかゆみ、糖尿病がある人の妊娠)
- 感染症には、B群溶血性レンサ球菌(GBS)、風しん、伝染性紅斑(りんご病)、サイトメガロウイルス、性器ヘルペス、リステリア、トキソプラズマなどがあります(妊娠中のGBS、妊娠中のりんご病、サイトメガロウイルスとトキソプラズマ)
- 双子などの多胎、赤ちゃんの育ちがよくない、20歳未満・35歳以上、妊娠中の喫煙・飲酒・薬物、肥満(BMI30以上)、糖尿病などの持病で、リスクが上がるとされています
胎動が少ないときは、すぐに連絡

赤ちゃんの動きが少ない、いつもとちがうと感じたら、翌日まで待たずに、すぐ産院へ連絡を。赤ちゃんの具合が悪い最初のサインのことがあります。
NHSによると、
- 胎動は、ふつう16〜20週ごろから感じはじめ(もっと遅いこともある)、お産のときまで続きます
- 胎動がいつもより少ない、パターンが変わったときは、赤ちゃんの具合が悪い最初のサインのことがあります。翌日まで待たずに、すぐに助産師や産院に連絡しましょう
- 「何回動けばふつう」という決まった回数はありません。その赤ちゃんのいつもの動きからの変化に気づくことが大切です(胎動)
リスクを下げるためにできること
NHSは、すべての死産を防げるわけではないとしたうえで、次のことをすすめています。
- たばこを吸わない、お酒や薬物を避ける(妊娠中のたばこ、妊娠中のお酒)
- 28週からは、あおむけでなく横向きで寝る(左右どちらでもよい)。あおむけで目が覚めても心配せず、横向きになってまた寝ればよい(妊娠中のよくある不調)
- 健診をすべて受ける。赤ちゃんの育ちや、血圧・尿を確かめます
- おなかの痛みや出血は、その日のうちに連絡する
- かゆみがあるときも伝える
- 葉酸を妊娠前から12週まで(葉酸)
- 予防接種を確かめる(妊娠中の予防接種)
- カフェインをとりすぎない
- 感染症を防ぎ、避けたい食べ物を知る(妊娠中に気をつけたい食べもの)
赤ちゃんを亡くしたとき
NHSによると、
- おなかの中で赤ちゃんが亡くなったときは、自然に陣痛が来るのを待つか、陣痛を誘発することがあります。お母さんの健康にリスクがあれば、できるだけ早く産むこともあります。帝王切開になることはまれです
- そのあとどうしたいか(赤ちゃんを抱く、写真を撮るなど)は、とても個人的なことで、正しい・まちがいはありません
- 赤ちゃんが亡くなった理由を調べる検査を提案されることがあります
家族・まわりの人にできること
- 「次があるよ」「早く忘れて」などの言葉は、思いやりのつもりでも、つらさを深めることがあります。ただ話を聞く、赤ちゃんの存在を大切にすることが支えになります
- 悲しみ方やその長さは人それぞれです。パートナーも同じように深く悲しんでいることがあります
- 眠れない、何も手につかない状態が続くときは、医師や保健師に相談しましょう(産後うつ)
(更新)こども家庭庁の「流産・死産等を経験された方へ」で確認しました。都道府県などの相談窓口の一覧(2025年12月24日更新)が公開されています。働く女性が妊娠4か月以降に流産・死産した場合は産後休業(原則8週間)の対象になり、流産・死産後1年以内は(妊娠の週数を問わず)母性健康管理措置の対象です。妊娠満12週(85日)以降の流産・死産では、出産育児一時金(2023年4月以降は50万円)、出産手当金、産前産後の社会保険料・国民年金保険料の免除の対象になります。産後ケア事業の対象になるかどうかは、このページでは確認していません
流産・死産のあとの制度や相談先は、流産・死産のあとのささえを見てください。
まとめ
- 死産は、原因がわからないことも多く、お母さんのせいではない
- 胎動が少ない・いつもとちがうときは、翌日まで待たずにすぐ連絡
- たばこ・お酒をやめる、28週から横向きで寝る、健診を欠かさない、痛み・出血・かゆみはすぐ伝える
- 赤ちゃんを亡くしたあとの過ごし方に正しい・まちがいはない。ひとりで抱えずに
参考文献
- NHS. Stillbirth(Overview / Causes / Preventing stillbirth、Page last reviewed: 24 April 2024). https://www.nhs.uk/conditions/stillbirth/ (閲覧日:2026年10月10日)
- 死産の届出に関する規程(昭和21年厚生省令第42号)第2条・第4条(e-Gov法令検索). https://laws.e-gov.go.jp/law/321M30000100042 (閲覧日:2026年10月10日)
- こども家庭庁. 流産・死産等を経験された方へ. https://www.cfa.go.jp/policies/boshihoken/ryuuzan/ (閲覧日:2026年10月10日)
- 厚生労働省. 令和7(2025)年人口動態統計(確定数)の概況(調査の概要・結果の概要、PDF). https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei25/dl/02_kek.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。