年末調整のしくみ:毎月天引きされた所得税を、12月に1年分で精算する。医療費控除・ふるさと納税(ワンストップ特例を使わない場合)・住宅ローン控除の1年目は対象外で、確定申告が必要。2026年分は基礎控除の引上げなどを12月にまとめて反映
国税庁の「令和8年分 年末調整のしかた」とタックスアンサー(令和8年4月1日現在)によると、年末調整は、毎月の給与から源泉徴収した所得税の合計と、1年間に納めるべき税額の差を、勤務先が12月に精算する手続きです。対象は「扶養控除等(異動)申告書」を出している人で、給与が2,000万円を超える人などは対象外。生命保険料控除・地震保険料控除・住宅ローン控除(2年目以後)などは年末調整で受けられますが、医療費控除・寄附金控除・雑損控除・住宅ローン控除の1年目は確定申告(還付申告)が必要です。2026年分は基礎控除・給与所得控除の引上げ、23歳未満の扶養親族がいる人の生命保険料控除の特例などが、12月の年末調整で反映されます。

プレ男会社から「年末調整の書類を出して」って言われたけど、毎年なんとなく書いてるだけなんだよね…。

メル美年末調整をしたら、確定申告はしなくていいの?医療費が多かった年はどうするんだろう。
今回は、会社員・パート・アルバイトのほとんどが毎年かかわる「年末調整」です。国税庁の「令和8年分 年末調整のしかた」(令和8年7月1日現在の法令にもとづく冊子)と、タックスアンサー(No.2662・2665・2668・1900・2030、令和8年4月1日現在の法令等)で確認した内容をまとめました。個別のケースは、勤務先の担当者や税務署・税理士に確かめてください。
年末調整とは
- 会社などは、毎月(毎日)の給与を払うときに、源泉徴収税額表にもとづいて所得税を天引き(源泉徴収)しています
- でも、1年間に天引きした合計は、その人が1年間に納めるべき税額と、ふつうは一致しません。国税庁の冊子は、理由として次のようなものをあげています
- 源泉徴収税額表は、1年を通して給与が変わらないものとして作られている
- 年の途中で扶養する家族の数などが変わっても、さかのぼって直さない
- 生命保険料控除・地震保険料控除などは、年末調整のときに差し引くことになっている
- そこで、1年の給与が確定する年末に税額を計算し直し、多く引いていれば還付、足りなければ徴収します。これが年末調整です
- 国税庁の冊子は、勤務先で年末調整が済めば、ほとんどの給与所得者は確定申告などの手続きがいらなくなるため、「年末調整は非常に大切な手続」としています
年末調整の対象になる人・ならない人
対象は、勤務先に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を出している人です(タックスアンサー No.2665)。
| 対象になる人 | 対象にならない人(例) |
|---|---|
| 1年を通じて勤めている人 | 給与の収入が2,000万円を超える人 |
| 年の途中で就職し、年末まで勤めている人 | 2か所以上から給与をもらい、ほかの勤務先に扶養控除等申告書を出している人(いわゆる「乙欄」の人) |
| 年の途中で退職した人のうち、12月の給与をもらってから退職した人、パートなどで退職し本年の給与が136万円以下の人(ほかから給与をもらう見込みがない場合)など | 上の「対象になる人」に当てはまらない、年の途中で退職した人 |
- 年の途中で就職した人は、前の勤務先の給与も合わせて年末調整します。そのため、前の勤務先の源泉徴収票を出す必要があり、確認できないと年末調整はできません(タックスアンサー No.2668)
- 年末調整の対象にならない人は、自分で確定申告をして精算します

プレ男転職したら、前の会社の源泉徴収票が必要なんだ!
出す書類と、受けられる控除
国税庁の冊子では、年末調整で控除を受けるための申告書は次のとおりです(令和8年分)。
| 申告書 | 受けられる控除 |
|---|---|
| 扶養控除等(異動)申告書 | 扶養控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除 |
| 基礎控除申告書 | 基礎控除 |
| 配偶者控除等申告書 | 配偶者控除、配偶者特別控除 |
| 特定親族特別控除申告書 | 特定親族特別控除(19〜22歳の子どもなど) |
| 所得金額調整控除申告書 | 所得金額調整控除 |
| 保険料控除申告書 | 生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除(自分で払った分)、小規模企業共済等掛金控除(iDeCoなど、自分で払った分) |
| 住宅借入金等特別控除申告書 | 住宅ローン控除(2年目以後。申告書は税務署から本人に届く) |
- 2から5の申告書は、ひとつの用紙(兼用様式) になっています
- 勤務先が対応していれば、紙ではなく電子データで出すこともできます。国税庁は「年末調整控除申告書作成用ソフトウェア」(年調ソフト)を無償で出しています
年末調整では受けられないもの
次の控除は年末調整では受けられないので、受けたい人は確定申告(還付申告) をします(タックスアンサー No.2030 の「還付申告の具体例」より)。
- 医療費控除(→医療費控除)
- 寄附金控除(ふるさと納税など。→ふるさと納税)
- 雑損控除(災害や盗難の損害)
- 住宅ローン控除の1年目(→住宅ローン控除)
- 年の途中で退職して、年末調整を受けていない人の納め過ぎの税金
還付申告は、確定申告の期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間出せます。
- ふるさと納税は、確定申告をしない給与所得者などで寄附先が5団体以内なら、「ワンストップ特例」で申告なしに控除を受けるしくみもあります。くわしくはふるさと納税の記事へ
会社員でも確定申告が必要な人
年末調整を受けていても、たとえば次の人は確定申告が必要です(タックスアンサー No.1900。確定申告で税金が還付される人は除く)。
- 給与の収入が2,000万円を超える人
- 給与を1か所からもらっていて、給与・退職金以外の所得が20万円を超える人(→副業の確定申告)
- 給与を2か所以上からもらっていて、年末調整されなかった給与の収入と、給与・退職金以外の所得の合計が20万円を超える人(例外あり)

メル美医療費控除は年末調整じゃ受けられないから、自分で申告するんだね。
2026年分(令和8年分)で変わったこと
国税庁の冊子の「昨年と比べて変わった点」は次のとおりです。改正は原則として2026年12月1日に施行され、2026年分以後の所得税に使われます。
- 基礎控除の引上げ(合計所得金額に応じた段階あり)
- 給与所得控除の最低保障額の引上げ(65万円→74万円)
- 扶養親族などの所得要件の改正
- 23歳未満の扶養親族がいる人の生命保険料控除の特例の新設
金額のくわしい話は年収の壁にまとめています。
12月の年末調整で、まとめて反映
- 改正の施行が12月1日なので、11月までの給与の天引きは改正前の税額表のままです。冊子には、12月の年末調整で、改正後の控除で年税額を計算し、改正前の税額表で天引きした税額との精算も行うと書かれています
- 新しい控除額にもとづく「源泉徴収税額表」は、2027年分(令和9年分)以後のものが改正されています
23歳未満の家族がいる人の生命保険料控除
- 23歳未満の扶養親族がいる人は、2026・2027年分の「新生命保険料」の一般生命保険料控除の上限が、4万円から6万円に引き上げられました
| 年間の新生命保険料 | 控除額(23歳未満の扶養親族がいる場合、2026・2027年分) |
|---|---|
| 3万円以下 | 支払った全額 |
| 3万円超 6万円以下 | 保険料 × 1/2 + 1万5,000円 |
| 6万円超 12万円以下 | 保険料 × 1/4 + 3万円 |
| 12万円超 | 一律 6万円 |
- 一般生命保険料控除・介護医療保険料控除・個人年金保険料控除を合わせた上限は、改正前と同じ12万円です

国税庁の冊子によると、2026年分の基礎控除の引上げなどは12月1日施行のため、11月までの天引きは改正前のまま。12月の年末調整でまとめて精算されます。家族の状況が変わった人は、勤務先への申告を忘れずに。
年末調整のあと
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勤務先は、翌年1月末日までに「給与所得の源泉徴収票」を交付します。確定申告をするときや、転職したときに使います
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年末調整のあとに給与の追加払いや、扶養する家族の異動があった場合は、勤務先が「再調整」(年末調整のやり直し)をします。国税庁の冊子では、やり直しができるのは源泉徴収票を交付する翌年1月末日までです。申告のまちがいや家族の状況の変化に気づいたら、早めに勤務先に伝えましょう。期限を過ぎてしまったときは、税務署に相談してください
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2027年分(令和9年分)以後は、所得税・復興特別所得税に加えて「防衛特別所得税」も源泉徴収の対象になる、とタックスアンサーに書かれています。なお、国税庁のタックスアンサー No.1600(公的年金等の課税関係)には、2027年1月1日以後に生ずる所得について、復興特別所得税の税率が1.1%に引き下げられ、防衛特別所得税(源泉徴収すべき所得税の額の1%)が合わせて源泉徴収される、と書かれています
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給料にかかるほかの税金と保険料は、住民税、給与明細の社会保険料もどうぞ
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iDeCoの掛金の控除は、iDeCoの税金もどうぞ
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扶養控除・配偶者控除の金額は、扶養控除と配偶者控除もどうぞ
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生命保険料控除・地震保険料控除の計算は、生命保険料控除にまとめています
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年末調整のあとにもらう源泉徴収票の読み方は、源泉徴収票の見方もどうぞ
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災害や盗難の損害の控除は、雑損控除もどうぞ
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2か所目の勤務先の給与(乙欄)は、2か所から給料をもらうときもどうぞ
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保険料控除申告書の地震保険料は、地震保険料控除もどうぞ
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年末調整では受けられない特定支出控除は、特定支出控除もどうぞ
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年の途中で辞めて年末調整を受けなかったときは、年の途中で会社を辞めたときの税金もどうぞ
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所得金額調整控除のしくみは、所得金額調整控除もどうぞ
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ボーナスから引かれる所得税の計算は、ボーナス(賞与)の源泉徴収もどうぞ
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海外転勤のときの年末調整は、海外転勤・海外移住するときの税金もどうぞ
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基礎控除の額の表は、所得税の基礎控除もどうぞ
まとめ
- 年末調整は、毎月天引きした所得税を、12月に1年分で精算する手続き
- 対象は扶養控除等申告書を出している人。給与2,000万円超、2か所目の勤務先(乙欄)などは対象外
- 医療費控除・寄附金控除・住宅ローン控除の1年目は年末調整では受けられず、確定申告が必要(還付申告は5年間出せる)
- 2026年分は基礎控除・給与所得控除の引上げ、23歳未満の家族がいる人の生命保険料控除の特例を、12月の年末調整でまとめて反映
参考文献
- 国税庁. 令和8年分 年末調整のしかた. https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/nencho2026/pdf/nencho_all.pdf (閲覧日:2026年10月4日)
- 国税庁. 令和8年分 年末調整のしかた(年末調整がよくわかるページ). https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/nencho2026/01.htm (閲覧日:2026年10月4日)
- 国税庁. No.2662 年末調整のしかた(令和8年4月1日現在法令等). https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2662.htm (閲覧日:2026年10月4日)
- 国税庁. No.2665 年末調整の対象となる人(令和8年4月1日現在法令等). https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2665.htm (閲覧日:2026年10月4日)
- 国税庁. No.2668 年末調整の対象となる給与(令和8年4月1日現在法令等). https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2668.htm (閲覧日:2026年10月4日)
- 国税庁. No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人(令和8年4月1日現在法令等). https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm (閲覧日:2026年10月4日)
- 国税庁. No.2030 還付申告(令和8年4月1日現在法令等). https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2030.htm (閲覧日:2026年10月4日)
- 国税庁. No.1600 公的年金等の課税関係(令和8年4月1日現在法令等). https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1600.htm (閲覧日:2026年10月4日)
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